ニュースレター (令和元年5月)

金子経営コンサルティング事務所【中小企業診断士/特定社会保険労務士】

◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。

 

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1.パート・有期社員への待遇差説明

2.キャリアアツプ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)

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1.パート・有期社員への待遇差説明

 

 同一労働同一賃金に関するパート・有期法の施行に伴い、「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容および理由等を説明しなければならいない」ことになりました。

 施行日は、中小企業の場合2021年4月です。

 

 それでは、使用者はどのような事項を説明すればよいのでしょうか。具体的な説明事項については、厚生労働省の告示・指針・通達に記載があります。

 

①内容

  内容については、「待遇に関する基準の相違の有無」のほか、「待遇の個別具体的な内容」または「待遇に関する基準」を説明することとされています。

 

<「待遇の個別具体的な内容」として説明する事項>

 ・比較対象として選定した通常の労働者が1人である場合には、例えば、賃金であれば、その金額

 ・比較対象として選定した通常の労働者が複数人である場合には、例えば、賃金などの数量的な待

  遇については平均額または上限・下限、教育訓練などの数量的でない待遇については標準的内容

  または最も高い水準・最も低い水準の内容

 

<「待遇に関する基準」として説明すべき事項>

 ・例えば賃金であれば、賃金規定や等級表等の支給基準

 

②理由

 理由については、職務の内容、職務の内容および配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質および待遇を行う目的に照らして適切と認められるものに基づいて説明する必要があります。

 

<待遇の相違の「理由」の説明>

 ・待遇に関する基準が同一である場合、同一基準のもとで違いが生じている理由(成果、能力、経

  験の違いなど)

 ・待遇に関する基準が異なる場合、待遇の性質・目的を踏まえ、待遇に関する基準に違いを設けて

  いる理由(職務の内容、職務の内容および配置の変更の範囲の違い、労使交渉の経緯など)、お

  よびそれぞれの基準をどのように適用しているか

 

③実際の説明方法について

 厚労省では、「パート・有期法対応のための取組手順書」において、書式を示していますので、説明の際の参考になるものと思われます。

 また、この取組手順書以外にも「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」や業界別マニュアルを公開しています。

 

 法施行まであと2年ありますが、このように同一労働同一賃金の実現には「賃金決定基準・ルールの明確化」と「公正な人事評価」が肝となり、今からしっかり準備を進めていく必要があると思われます。

 

 

   厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者のための取組手順書」

   厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」

 

 

 

2.キャリアアツプ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)

 

 この助成金は、雇用する短時間労働者の週所定労働時間を1~5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合に助成されるものです。

 

 今年度より、1人当たりの支給額が増額され、1事業所当たりの支給申請上限人数も15人から45人と拡充されています。

 

 受給額は、短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に加入した場合、1人当たり22.5万円(生産性要件を満たす場合は28.4万円)です。

 

 また、5時間未満の場合でも労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に適用させることに加えて、「賃金規定等改定コース」または「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」を実施した場合、延長時間に応じて、1人当たり4.5万円(同5.7万円)から18万円(同22.7万円)支給されます。

 

 ここでいう「賃金規定等改定コース」とは、有期契約労働者等の賃金規定等を増額改定し、3%以上の昇給を行った場合に助成されるものです。

 「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」とは、週所定労働時間30時間未満の者に対して、労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施し、賃金を引き上げた場合に助成されるものです。

 

 この助成金の魅力は、有期契約労働者および無期雇用労働者の週所定労働時間を1~5時間以上延長した場合に受給できるというお手軽さにあるといえます。

 また、従来は助成金の支給対象とならなかった、小刻みな労働時間の延長も対象になっているのも魅力の1つです。

 

 非正規労働者であっても一定の労働時間労働する方の社会保険加入を促進する目的で助成金を支給するという労働者の保護を促進するための助成金ですので、社会保険の加入が必須条件となっています。

 しかし、非正規労働者の労働時間を延長し社会保険に加入させること以外はほとんど条件がなく、受給金額もそのお手軽さを考慮すればそれなりにお得といえます。

 

 

   厚生労働省「キャリアアツプ助成金」

 

   

 

 

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