2024年8月のニュースレター

8月になりました。

北海道(ほっかいどう)・札幌(さっぽろ)は暑いながらも夜は涼しく、
去年のような寝苦しい夜が続くことはまだありません。

さて、先月末に学習者さんたちと天ぷらを食べに行きました。

ひとりは30代の初心者で、『みんなの日本語』だと今3課。

でも、家族の仕事を手伝っています。

 

ふと、考えました。

言葉がゼロレベルの状態で生活したことが自分にはあっただろうか、と。

若いころにイギリスとトルコに数カ月ずつ住んだことがありました。

英語は聞けず話せずでも、中学・高校の授業のおかげで

簡単な作文が書けるレベルの文法は頭に入っていました。

トルコ語も簡単な文法と単語を勉強していったので、

「トイレに行きたい」など生きていくのに
最低限(さいていげん)必要なやりとりはできました。

 

旅行だと通り過ぎるだけなのでそんなにストレスになりませんが、

生活をするとなると話が違います。

言語がゼロレベルの国で暮らすと、毎日の風景はどのように見えるのでしょう?

 

「寒い」「眠い」「おなかいっぱい」程度のトルコ語しか話せない私は、

どんなに複雑(ふくざつ)なことを考えていても伝えることができず、

周囲からいつも子ども扱いされ、とてもフラストレーションがたまりました。

それさえも言えないならば?

 

実体験(じったいけん)としてはわからないけれど、

想像してみようという気持ちは忘れないようにしたいと思います。

 

 

※写真は、学習者さんからいただいたおみやげのトートバックの絵柄。
細密画っぽいけれど、女性はヘッドフォンしてスマホを手に持っています。

今月は「茶話コン」だけです

せっかく勉強した日本語を、チャットでたくさん使ってください。

会話を止めてわからないことを質問したり、発音を何度も繰り返すよう頼んだり、文章を考えるために話すまで長く無言になっても、まったく問題ありません。ここは学習者のためのチャットルームです。たくさん練習できます。

 

●茶話(さわ)コン

毎月最終土曜、午後11時(23:00 JST)から、oViceで90分間みっちり話すTSURU⌘の茶話コンです。定員はファシリテーター含め5名と少人数で、日本語母語者も歓迎です。おしゃべりでのどが渇くので、飲み物を用意しましょう。

#32は8月31日(土)。予約不要。時間になったらノックして入室です。

 

●旅の部屋

奇数月最終木曜午後9時からは、SpatialChatで旅話を楽しむチャットルームです。旅好き・登山好きのなつおがファシリテーターを務めます。
次回は9月26日(木)なので、今月はありません。

 

●作文の添削

日本語の作文を送ってください。添削して返送します。

 

8月の予定

「やさしいにほんご」でニュース

[時事通信ニュース]2024/07/29

赤れんが庁舎、リニューアルへカウントダウン

あかれんがちょうしゃ、リニューアルへカウントダウン

 

このニュースを「やさしいにほんご」にしました。

北海道庁(ほっかいどうちょう)は、北海道(ほっかいどう)の役所(やくしょ)です。むかしの北海道庁(ほっかいどうちょう)の建物(たてもの)は1888年(せんはっぴゃくはちじゅうはちねん)に建(た)ちました。外(そと)の壁(かべ)がれんがです。だから、この建物(たてもの)を「赤(あか)れんが」と呼びます。

とても古(ふる)いので、博物館(はくぶつかん)になりました。いまは大(おお)きな工事(こうじ)をしています。5年間(ごねんかん)工事(こうじ)をした後(あと)は地震(じしん)に強(つよ)くなります。

 

工事(こうじ)した建物(たてもの)は、来年の(らいねん)の8月(はちがつ)25日(にじゅうごにち)にオープン(open)します。あと1年(いちねん)です。建物(たてもの)の前(まえ)の庭(にわ)にカウントダウンボード(countdown board)をつくって、お祝(いわ)いの会(かい)を開(ひら)きました。

「赤(あか)れんが」は有名(ゆうめい)な観光(かんこう)の名所(めいしょ)です。でも、2019年(にせんじゅうきゅうねん)から工事(こうじ)をしています。観光客(かんこうきゃく)は「赤(あか)れんが」の絵(え)のついたシート(sheet)しか見(み)ることができません。

 

来年(らいねん)はたくさんの観光客(かんこうきゃく)に来(き)てほしいです。それで、お祝(いわ)いの会(かい)では北海道(ほっかいどう)の歴史(れきし)の動画(どうが)を流(なが)しました。7月(しちがつ)は札幌(さっぽろ)で、8月(はちがつ)は北海道(ほっかいどう)のいろいろな場所(ばしょ)でパネル(panel)展(てん)をして、宣伝(せんでん)します。

【今月の豆知識】
 赤(あか)れんが

 「赤れんが」は1888年(明治21年)に建てられた北海道旧本庁舎の愛称です。現在使われている新庁舎ができるまで、約80年間使われていました。愛称の由来であるれんがは約250万個を使用。アメリカ風ネオ・バロック様式の建築を、明治時代ならではのひずみのあるガラスをはじめ歴史を感じさせる建具や調度品が飾り、館内に入るとタイムスリップしたような気持ちになります。

 無料公開されている建物ですが、現在は工事中で休館中。建物に入れなくても、大きな池のある前庭は四季折々の風景が美しく、散歩に立ち寄るのも楽しいです。前庭は7:00〜21:00に開いています。公園内は火気厳禁で飲食も禁止ですが、近くのテナントビル「赤れんがテラス」にカフェやレストランがたくさんあり、赤れんが庁舎真正面の北3条広場「アカプラ」では飲食が可能です。

 

●参考情報

・北海道公式サイト
 赤れんが庁舎パンフレット

ファシリさんのエッセイ

マレーシアの言葉 @TSURU⌘

前号のニュースレターに書いた通り、6月にマレーシアを訪ねました。

長期滞在していた友人から、そろそろ帰国するから遊びに来るなら今だよと言われ、急に行くことにしました。

これまではあまりマレーシアという国に注目することがなかったのですが、ここ数年日本の子どもたちの留学先として人気を集めているので、気になっていました。友人もインターナショナルスクールに留学した中学生の家族として滞在で、今回の旅行では日本人留学生を取り巻く環境や日常生活も垣間見ることができました。

あまり情報を得ていなかった国だったので、滞在中は発見ばかり。友人のありがたいもてなしもあって、とても楽しく過ごせました。

 

言語オタクとしてまず気になったのは、街の中の看板に中国語がとても多いこと。外務省サイトのマレーシア基礎知識ページによれば全人口に占める中国系は約23%とあり、華人が多いことは知識として知っていましたが、看板の中国語率はその割合をはるかに超えていた印象を受けました。でも、市中では中国語が通じるとのことなので、看板はラテンアルファベットと英語だらけだけれどあまり英語の通じない日本よりは生活言語を反映しているのかもしれません。

 

スーパーでマレーシア産の豆のインスタントコーヒーを買いたくて、コーヒーの試飲販売に立っていた女性に「このコーヒー豆の産地はどこですか?」をマレー語に訳したスマホ画面を見せたところ、わからなかったようで別の従業員二人を連れてきました。どうやら彼女は中国語を話す人だった模様。結局、私も含め全員が英語で話し、その豆がジョホール州産であることがわかりました。

配車アプリのGrabで乗った車の運転手の大半は英語を話しました。中国語もよく通じました。マレーシアの人たちは日常的に複数言語で生活しているのかもしれません。そのあたりは短い滞在ではよくわかりませんでした。

 

マレー語はラテンアルファベットで表記されていましたが、これまでのマレーシアの歴史や国民の半数以上がイスラム教徒である点などを考え合わせると、オスマン帝国からトルコ共和国になったときのように、近年使う文字が変わったのではないかと想像できました。

調べてみると案の定で、東京外国語大学マレーシア語ページには「 マレー語の表記には通常、ローマ字が用いられます。マレー語には他に、アラビア文字をもとにして考案されたジャウィ文字による表記法も存在します。ローマ字採用(1904年)以前はジャウィ文字が主な表記法でした」とありました 。

 

このジャウィ文字、アラビア文字を使ってアラビア語にはない発音のあるマレー・インドネシア語を表記するためにつくられた文字なのだそうで、なんだかアラビア文字が使われていたオスマンル語(現代トルコ語の前身)が思い出されます。

インドネシアでは使われなくなり、マレーシアではまだ使われていて、ブルネイではバリバリの現役だそうです。

たぶん私が旅したのが、イポー、カンパー、マラッカと華人の多いまちだったから少なくて気づかなかったのかもしれません。マレー系が多いところではジャウィ文字の看板も多いとのことなので、もし今度またマレーシアを訪問する機会があったら、ジャウィ文字の看板を見つけてみたいです。

 

※写真はマレーシアの国章です。このリボンの右側にあるアラビア文字的なものがきっとジャウィ文字ですね?

ファシリさんたち

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