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1.積立有給休暇制度
2.両立支援等助成金(再評価者評価処遇コース)
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1.積立有給休暇制度
近年の医療技術の進歩によって、これまで治らないとされてきた疾病が治るようになる一方で、長期にわたって治療を受けながら働いたり、職場復帰を目指して治療を受けたりする人々が増えています。
そうした中、治療と仕事を両立しようとする従業員をサポートする職場づくりや社内制度導入の必要性が高まっています。
積立有給休暇制度は、その1つで、本来であれば、2年の時効で消滅してしまう年次有給休暇を一定日数まで積み立てておき、私傷病などによる長期欠勤の際に休暇を取得できる制度です。
「民間企業の勤務条件制度等調査(2016年人事院)」によると、積立有給休暇制度がある企業は、従業員50人以上100人未満では19.2%、100人以上500人未満では31.0%、500人以上では54.6%となっており、一定程度の企業が導入済みであることがわかります。
また、積立有給休暇制度の利用率については、6割以上のがん患者が利用している状況となっています。
積立有給休暇制度の導入や運用にあたってのポイントは、次のとおりですが、あくまで従業員の不測の事態に備えた休暇制度であり、法定の年次有給休暇取得を抑制することがないようにしなければなりません。
①制度の定義と目的
規定には、「積立有給休暇制度」とは何か(定義)、どのような趣旨のもと導入したのか(目的)について明記しておくことが望ましいです。
②制度の適用範囲
すべての従業員とするのか、定年後の再雇用者・有期雇用従業員・パートタイマー・アルバイトへの適用をどうするのか、一定の勤続年数以上の従業員とするのか、などが検討事項です。
先の調査では、正社員に比べ、有期雇用従業員を対象としていない企業が多いのが現状です。
③積立日数の上限
際限なくというわけにはいきませんので、「積み立てられる日数は年間5日まで」など「年間積立日数の上限」を設け、「総積立日数の上限」も決めておきましょう。
「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立に関するヒアリング調査」(2012年)によると、年間積立日数に上限を設けている企業は82.5%、上限日数の平均は17.3日であり、総積立日数の上限を設けている企業は87.5%、上限日数の平均は41.5日となっています。
④休暇を取得できる自由
休暇を取得できる事由は、会社が任意に決めることができます。
「民間企業の勤務条件制度等調査(2016年人事院)」によると、使用事由の制限のある企業は74.9%で、私傷病96.4%、看護46.2%、介護58.3%などの事由となっています。
⑤休暇取得の優先順位
法定の年次有給休暇や私傷病休職制度との優先順位を検討する必要があります。
⑥1回当たりの利用日数の上限・在籍期間中の利用回数の上限
これらの上限を設けている企業もみられます。
⑦休暇期間の取扱い
積立有給休暇取得期間については、次の場合の出勤率計算の取扱いを検討する必要があります。
ア.翌年度の年次有給休暇の算定
イ.賞与支給額の算定
ウ.退職金支給額の算定
治療と仕事の両立支援は、今後企業にとって大事な人財を失わないための重要な方策になっております。積立有給休暇制度は、病気などの不測の事態にも従業員が安心してその持つ力を最大限に発揮してもらうことにつながるものと考えられます。
2.両立支援等助成金(再評価者評価処遇コース)
この助成金は、育児だけでなく、妊娠、出産および介護のいずれかの理由で退職した社員を再雇用した場合に、その後6カ月経過後と1年経過後の2回に分けて支給されるもので、育児・介護等を理由とした退職者の復職支援および企業の生産性の向上に資する再雇用の支援を目的にしています。
助成金金額は、中小企業の場合、1人目が1回目19万円(生産性要件に該当する場合は24万円)、2回目19万円(同24万円)で、2~5人目が1回目14.25万円(同18万円)、2回目14.25万円(同18万円)となっており、1人目と2人目以降で助成金額が異なります。
また、1事業所につき、最大5名まで申請可能です。
対象になる退職者の主な条件は、次のとおりです。
①退職理由が妊娠、出産、育児、介護であること
②採用の前日までに退職理由と再雇用を希望する申出書があること
③退職した社員が離職前に雇用保険に1年以上加入していること
④退職日から採用日までの期間が1年以上空いていること
⑤代表または取締役の3親等以内の親族でないこと
⑥退職前の経験、能力、退職後から再雇用まだの経験等を評価し、再雇用後の労働条件に反映させて
いること
⑦再雇用後は「期間の定めのない契約」かつ「雇用保険の被保険者」となること
また、申請にあたってのポイントは、次のとおりです。
①「期間の定めのない契約」かつ「雇用保険の被保険者」が条件なので、正社員だけでなくパートタ
イマー等の身分での再雇用も助成金の対象になります。
②再雇用制度を新たに就業規則等に規定する必要があります。
③「再雇用制度規程」を制定する前に退職した社員でも「再雇用に係る申立書」を提出することによ
り助成金を申請できます。
④退職後に他の会社に勤務していても助成金の対象になります。
⑤グループ内の会社で再雇用する場合も助成金の対象になります。
⑥退職後、再雇用するまでの離職期間を制限することは可能ですが、3年以上での設定に限られま
す。
⑦再雇用時の対象年齢に上限を設定することができますが、定年を下回ることはできません。
過去に退職した社員の再雇用を検討している事業主には、本助成金の活用を検討されてはいかがでしょうか。
厚生労働省:両立支援等助成金(再評価者評価処遇コース)
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