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横浜・SOW 不登校の子にも居場所を

シリーズ「学校以外の居場所(3)」
  • 2021年08月25日

「学校に行ける気がしない、でも、行かないのも苦しい」
不安な気持ちを抱える子どもたちが安心して過ごすことができる居場所を紹介する「#学校ムリでもここあるよ」キャンペーンが、子どもの居場所作りに取り組むNPOなどで作る団体によって全国で始まりました。(2021年8月19日から9月30日まで)NHK横浜放送局では、神奈川県内の学校以外の子どもたちの居場所などを取材して紹介します。

横浜市 不登校の子どもと親の居場所 SOW

SOWは、今年(2021年)4月に始まった、学校に行くのがつらい子どもとその親の集まりです。小・中学生の子どもとその親の合わせて14人ほどが、毎週火曜日と月に一回、集まってさまざまなことをして過ごしています。集まる場所は、横浜市のNPO法人が運営するカフェです。庭付きの一軒家で、おばあちゃんの家に来たように居心地のいい空間だとSOW代表の末兼めぐみさんは話します。(写真提供:SOW)

子どもに寄り添う居場所

SOWは英語で「種をまく」という意味で、子どもの声に耳を傾け、子どもの思いに寄り添い、子どもの育ちを見守っていくという親の思いが込められているそうです。その名前の通り、子どもは何をして過ごしてもいいことになっていて、ひとりでゲームをしていることもあれば、友達と遊ぶこともあります。子どもの、そのままの姿を受け止めたいと末兼さんは言います。

アクセサリー作りの得意なお母さんが先生になってレジンという透明な樹脂を使ったチャームを作ることもあればスライムを作ることもあります。割り箸鉄砲を作った際には、的も作り、どうすれば水風船を割ることができるか実験を始めた子どももいたそうです。

日曜日には「好きなもの発表会」も行われ、子どもたちが自分の好きな動画などを発表します。昆虫好きの子どもがアゲハチョウの観察記録を動画にまとめてきて発表したり、電車好きな子どもが京浜急行線の音と塗装について解説する動画を紹介したりします。好きなことで、子どもがつながれる雰囲気作りを大切にしているそうです。ボードゲーム好きの子どもがいる影響で、最近はボードゲームで盛り上がる子どもたちの姿も見られるそうです。

活動が始まった最初のころは、子どもたちが別々に過ごす時間が長かったといいます。しかし、何度も顔を合わせるうちに次第に慣れ、いまでは子どもたちが一緒に鬼ごっこをしたりボードゲームをしたりして遊ぶ時間が少しずつ長くなってきたそうです。昼夜逆転しがちの生活を送っていたという小学生は、SOWに行くのが楽しみで、数日前から早寝早起きを頑張るようになったり、SOWで出会った子ども同士が一緒に虫取りに行ったりするなど、子どもたちにも変化が見られているそうです。

親が悩みを打ち明けられる場所

SOWは、不登校に悩む親にとっても大切な居場所になっているといいます。親たちは集まると「不登校の間の給食費ってどうしてる?」とか「先生への対応どうしている?」など、“不登校あるある”話を、気軽に相談しているということで、あるお母さんは「ここが息抜きの場で元気をもらって帰る」と話していたそうです。実は、代表の末兼さん自身、子どもが学校に行けなくなって精神的に追い詰められたときに、周囲に助けを求め支えてもらうことの大切さを痛感したと言います。そして末兼さんはいま悩んでいる親に対して、「親子だけで解決しようとせず、周りに助けを求めてほしい。不登校は恥ずかしいことでも何でもない。SOSを出してみんなで知恵を出し合って子どもを育てていけば良いと思います」と話していました。

末兼さんから悩んでいる子どもたちへ
「心配せず、まずは遊びに来てください。あなたの心の声に耳をかたむけたいと思っています。なにかしなくてはいけないとか、こんなことは言ってはいけないとか、こんな自分じゃだめだとか、そういう心配をしないで、息抜きに来てくださいね。」

SOW (開催場所 COCOしのはら 横浜市港北区篠原町1077)
緊急事態宣言中は毎週火曜日12時~15時
(通常期間は毎週火曜日10時~14時、月一回日曜日14時~16時)
連絡先 sow.ibasyo@gmail.com
※普段は利用料金が親子参加で600円、子どもだけの参加で300円かかり、親子での参加が基本ですが、8/31は無料、子どもだけでも参加できるそうです。

  • 佐藤美月

    横浜放送局 記者

    佐藤美月

    2010年入局。甲府局、経理局を経てことし7月から横浜放送局。児童福祉や子どもの学習支援などをテーマに取材。

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