今年は経口中絶薬が承認される

画期的な年。

「中絶は権利である」という知識を
身につけた次に必要なことは
社会と政治の変革です!

「地獄の3年間」は
絶対に回避しなければなりません。

今年は正念場です。
シスターフッドの力を

結集しましょう。

 

1月のメールマガジン

We believe in SISTERHOOD

                                                                                     2022/1/20  vol.7

 アジュマブックス・メールマガジンをご購読いただきありがとうございます。

 

 もっと安全な中絶を! 私のからだは私が決める! を目指して、アジュマブックスは昨年末、「中絶がわかる本」を発売しました。書籍の発売の直前である12月22日、ラインファーマ社が経口中絶薬の製造販売について厚生労働省に承認申請をしたニュースが一斉に報じられましたが、海外では700円台の薬を、日本産婦人科医会(医会)は「国内価格は10万円程度にすべき」というコメントを出し、女性たちから猛反発が起こりました。

 

 10万円の根拠として、医会の幹事長である石谷健氏は、新聞記者のコバヤシエイスケ氏による取材(注)に答え、「日本で行われた治験費用を製薬会社が価格に上乗せする」+「治験は入院が条件で行われた=治療前後の診察・検査や経過観察が必須」という2つの理由を上げていました。

 

 また、海外での中絶の自己負担が安価な点については、海外では公費補助があるが、日本では納税者である国民の理解を得ることが難しい(レイプの場合は公的補助が受けられます)から、と回答しています。

 

 これまで経口中絶薬の個人輸入は禁止されてきており、多くの母体保護法指定医病院のホームページでは、(WHOが必須医薬品リストに載せるほど安全な薬にも関わらず)経口中絶薬は、大量出血で死ぬ可能性がある、手術より失敗率が高い、子宮外妊娠の場合は卵管破裂の恐れがある……etcと脅してきました。

 

 (海外で安全と認められている薬にわざわざ国内でやる必要があるのか? という)治験に費用がかかったので当面、製薬会社が高価格にしたいのは、百歩譲って、仕方がないとしても、また、日本では「自分の身体の中の胎児」であっても、「母体保護法」によって母体保護法指定医以外の人が堕胎すると「堕胎罪」にあたり、1年以下の懲役と定められているため、今のところ指定医師の診察・検査・経過観察が必須で、それなりの費用がかかってしまう、というのも、これまた、千歩譲って仕方がないとしても、中絶の費用を公費で負担すべきではないと思う国民が多い、というのはなぜなのでしょうか? 

 

 また、「レイプの中絶は公費負担制度があるから、それでいいでしょう?」という理屈はどこからくるのでしょうか?

 

 中絶がしやすくなると、安易に中絶する女性が増えて、出生率が下がるから? 避妊に対する意識の低下が起こり、浮気する女性が増えるから? 避妊に失敗したのが悪いのだから、中絶は(女性だけが負担すべき)自己責任? レイプ以外で望まない妊娠したのが悪い、なぜなら結婚や子育てもせずに、セックスだけ楽しむような、ふしだらな女だから? 女性の人権より胎児の人権のほうが大事だから?……etc。

 

 女性の権利がそんな風に貶められている原因である、日本の文化の根本にある「家父長制」を打破しない限り、安全な中絶は手に入れられません。

 

 夏に行われる参議院選挙。

 

 現政権が圧倒的多数を占めると、自らの意思で衆院を解散しない限り、次の国政選挙が行われるまでの最長3年間、選挙に振り回されることなく、現政権がやりたい政策の実現(2023年創設予定の「こども庁」が「こども家庭庁」に名称変更されましたが、最も危険な動きは戦前の家制度復活を目指す憲法24条の改悪です)に集中できる「黄金の3年」に突入してしまいます。現政権にとっての「黄金の3年」は、女性たちにとっては「地獄の3年」です。

 

 中絶費用は高いまま、公費補助もされず、掻爬法という危険な中絶方法が主流でなくなっても母体保護法指定医制度は維持され、女性がだけが罪に問われる堕胎罪は廃止されず、中絶の配偶者同意要件も削除されないでしょう。極めつけは女性が家制度に縛り付けられる憲法改悪です。

 

 アジュマブックスによる書籍の発行は昨年6月に始まりましたが、まだまだ力が足りません。シスターフッドの声を上げ続け、選挙で私たちの意思を示すことで、女性が生きやすい社会に変えていくことを目指します。

 

 

注)【訂正版】経口中絶薬とは?副作用は?価格は?日本産婦人科医会に直接、話を聞いた。https://note.com/beball5046/

 

参考文献)「中絶がわかる本」翻訳者・塚原久美さんの記事とコラム。

「飲む中絶薬」で浮き彫りになった「中絶後進国・日本」の大きな問題~なぜこんなに高額なのかhttps://gendai.ismedia.jp/articles/-/90898

 

中絶再考 その3 中絶薬を「危険」にしているもの

https://www.lovepiececlub.com/column/13406.html

*「中絶再考」は他の回のコラムも非常にためになりますので是非、ご一読を!

 

お知らせ
 

<『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』の

著者キム・ジナさんの新刊が

アジュマブックスから発売されます!>

 

 女性たちに連帯を呼びかけ、ソウル市長選挙に出馬したことでも話題になったキム・ジナさん。昨年11月に発売された待望の2冊目「美しく散ってる場合じゃない(仮)」の日本語版が、アジュマブックスから早くも発売決定! 出版は今春予定。是非、ご期待ください。

 

キム・ジナさんも日本版発売のことをツィートしてくれました!

↓ 

https://twitter.com/cynigirl/status/1473957134081880064

<東京演劇アンサンブル3月公演のお知らせと

石原燃さん作品集が発売決定!>

 

 東京演劇アンサンブルの3月公演は、社会性の高い作品を生み出す劇作家・石原燃さんの新作「彼女たちの断片」。日本ではまだ未承認の中絶薬を使い、7人の多様な女性たちが「中絶」を実行する一夜を描く、石原燃さん書き下ろしの意欲作です。2022年3月23日 (水) ~2022年3月27日 (日) 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホールにて上演されます。

 

 そしてそして、今回の上演に併せて、本作品を含めた石原燃さんの性をテーマにした3作品を収録した書籍「夢を見る 性をめぐる3つの物語」がアジュマブックスから発売されます! ご期待ください。

 

 詳しくは「や」さんによるコラムをご覧ください。

↓

モテ実践録(25)一人の人間

 

「彼女たちの断片」のチケット情報はこちら

↓

直前になると完売になる可能性が。是非、お早めにお求めください!

<『イルダ』の北原みのり

ロングインタビューが

日本語で読めるようになりました!>

 

 韓国フェミニストメディア「ilda」(イルダ)に昨年11月12日掲載された北原みのりロングインタビュー「女たちの解放と欲望を求めてーーセックスグッズから韓流まで 日本のフェミニスト、北原みのりインタビュー」の日本語訳が公開に。

 

 日本のフェミニズム史の一頁ともいえる貴重なインタビューです。後編ではアジュマブックス立ち上げにも触れています。

 

 日本語での転載を許可くださいましたイルダと翻訳していただきました趙慶喜さん、改めて感謝申し上げます。

 

前編)

https://www.lovepiececlub.com/column/17382.html

 

後編)

https://www.lovepiececlub.com/column/17394.html

アジュマブックス

関連イベント

 

●12月26日 

 アジュマブックス ブックトーク「

年末かけこみ緊急イベントVol.1 中絶薬のこともっと知りたい!」

 

 カナダの児童文学賞を受賞した「中絶がわかる本」の日本語版が昨年の12月27日に発売されました。本書には、安全な中絶を求める、さまざまな国の人々による、切実な闘いの歴史が記されています。

 

 年末慌ただしい時期でしたが、12月22日に日本初の中絶薬承認申請が製薬会社から厚労省に出されたため、急遽、訳者の塚原久美さん、解説の福田和子さん、北原みのりの3人が集まり、ブックトークイベントを開催いたしました。

 

 1980年代に安全性が確認され、世界82カ国で使われている中絶薬とはどのようなものなのか。中絶薬の値段や、その運用について、日本の私たちが今、知っておきたいことを語りました。 

↓

https://www.ajuma-books.com/post/中絶が分かる本-出版記念イベント第一回

アジュマブックス関連番組

 

●12月23日

「フェミステーション」vol.12

 

 フェミへのバックラッシュを笑い飛ばしてくれる爆笑番組フェミステーション。2021年最後の回は、大物ゲスト、フェミットニー・ヒューストンさんが締めくくります。

 

 時代錯誤なオヤジ発言に呆れた時にも、感動的なフェミ宣言に拍手したい時にも、なぜかどちらにも使える便利な「ジェンダ~~~イヤ~~~」(笑)。今年もこの番組で「フェミはた・の・し・い」を広めていきましょう。

 

https://www.lovepiececlub.com/column/17343.html

●12月28日 

「経口中絶薬」初の承認申請 有効性と課題"処方の範囲"と"妥当な価格"を議論

(ABEMA Prime)

 

 「中絶がわかる本」を翻訳された塚原久美さんがABEMA Primeに出演。杉山産婦人科グループ理事長の杉山力一さんと中絶薬について討論。杉山さんの専門は不妊治療であり、母体保護法指定医ではないため、今ひとつ確信に触れた討論がなされず、議論はやや不完全燃焼気味に。もっとも中絶問題に関しては、塚原さん以上に海外事情に詳しい人はいないので、対等な討論ができる産婦人科医を見つけてくるのも大変なのかもしれませんね。

↓

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3422

●1月9日 

社民党チャンネル”新春に”世界からジェンダー平等を考えるVol.3

【福田和子×山本和奈(一般社団法人VoiceUpJapan)×福島みずほ】

 

 「中絶がわかる本」の解説者であるウガンダの福田和子さん、ジェンダー平等の社会をめざす活動を行うVoice Up Japan代表であるチリの山本和奈さん、日本(東京)の福島みずほさんが、ジェンダー問題について、ワールドワイドに語り合う番組。慈恵病院の内密出産や外国人技能実習生の妊娠問題、アメリカでは消防署で赤ちゃんを預かるセイフヘーブンベビーボックスがあったり、VoiceUpJapan高校生支部の活動や、中絶薬の価格問題など、盛りだくさんの内容です。

↓

https://www.youtube.com/watch?v=RDKbhN1eoL0

●1月16日 

「今夜もフェミテレビ 新春SP」

 

 フェミニストの女性6名、福島みずほさん、グラビア女優#KuToo発起人の石川優実さん(今回はお休みです)、社民党全国連合労働・女性問題・多様性政策委員長の大椿ゆうこさん、市民運動家の菱山南帆子さん、 会社員・フェミニスト#検察庁法改正案に抗議します発信者の笛美さん(今回はお休みです)と北原みのりが、毎月最終日曜日の夜に、ジェンダー平等について語り合う、いまや視聴者全国に広がったインターネット番組。今回は性被害当事者団体Springのスタッフで、亜紀書房から来月新刊が出る予定のライターの小川たまかさんが参加。

 

 年末に立ち会った女性の貧困、性搾取、女性への暴力の現状、世界に広がるポピュリズム、女性の政治参加への課題、リプロの問題、ジェンダー問題の今年の課題、参院選と憲法改正についてなど。改めて女性の連帯の重要性を確認しました。

↓

https://www.youtube.com/watch?v=i0s1kkUSgNA

書評紹介

 

『根のないフェミニズム フェミサイドに立ち向かったメガリアたち』の書評が雑誌『ダ・ヴィンチ』に掲載されました

 

 1月6日発売の『ダ・ヴィンチ』2月号の「絶対読んで得する8冊 4人のブックウォッチャー」欄に、キム・インミョン、カン・ユ、イ・ウォニュン、クク・チヘ、イ・ジウォン、ヒヨン、チョン・ナラ(著)パク・ソニョン共著『根のないフェミニズム フェミサイドに立ち向かったメガリアたち』の書評が掲載されました。 評者はライター・編集者のヒラギノ游ゴさんです。

 

 「……『根のない』彼女たちは戦わないことを選べなかったし、それらの点についての彼女たち自身による自省を窺い知れる記述が随所にある……」

↓
今月号目次

メディア掲載

 

『中絶がわかる本 MY BODY MY CHOICE』が『#クレヨンハウス通信』2月号で紹介されました

 

 「女性の視点から選んだOther Voiceに出会う本 Woman’s EYE」コーナーにご紹介いただきました!

 

原宿にあるクレヨンハウス3階の「女性の本の専門店」や「クレヨンハウス・オンラインショップ」でも販売中です。

 

女性の本の専門店)
https://www.crayonhouse.co.jp/shop/pages/tk05.aspx

オンラインショップ)

https://www.crayonhouse.co.jp/shop/g/g9784910276038

 

朝日新聞社の言論サイト「論座」に塚原久美さんが寄稿しています。

 

 なぜ今、「中絶薬」や「中絶の権利」が盛んに話題になっているのか? その背景となった「第三次中絶革命」について解説しています(12月21日「中絶薬の導入で日本女性にも中絶の権利を~掻爬を前提とした法律と医療を、全面的に見直すべき時だ」)。

 

https://webronza.asahi.com/national/articles/2021121700001.html

今後のイベント予定

●2022年2月上旬開催予定

アジュマブックス ブックトーク『中絶がわかる本』第2弾

 

 著者のロビン・スティーブンソンさんをお招きして、本書のエピソードや、世界と日本の中絶に関する状況などについて語り合います。

 

 日程が決まりましたら、メルマガ購読者様にはご招待メールをお送りいたしますね!

●2月27日

「今夜もフェミテレビ」20時〜YouTube配信

 

新刊予定

 『夢を見る 

性をめぐる3つの物語』

 

 社会性の高い作品を生み出す劇作家・石原燃による、慰安婦、性暴力、中絶という3つの『性』がテーマの作品集。「歴史」の暴虐に踏みにじられ、それでも生き、自分と、自分の「場所」を取り戻し、守ろうとする元従軍慰安婦の女性と、彼女を取り巻くどうしようもない世界、そして、そこに居るしかない「私たち」の物語である『夢を見る』。父親からの性暴力を受けた異母兄弟たちの苦悩と勇気を金魚の姿に投影した『蘇る魚たち』。未承認の中絶薬を使った「中絶」を実行する一夜を描く新作『彼女たちの断片』の3作品を収録! 2022年3月16日発売予定。

『いいから、あなたの話をしなよ

女として生きていくことの26の物語』(「大韓民国フェミニストの告白」(仮)から改題)

 

 ”フェミに出会って、自由を着た” 20代から60代までのフェミニストによる珠玉のエッセー集! 江南駅殺人事件をきっかけにあちこちで「フェミニズム」と「フェミニスト」に出会えるようになった韓国。しかし女性の日常は具体的にどれだけ本当に変わったのか? フェミニスト宣言したばかりの者たちは往年のお姉さんたちが今どうしているのか知りたいと言い、一方お姉さんたちは若い世代がどんな過程を経てそんなにも勇敢に激烈に最後までくじけずにフェミニズムを叫び続けているのかを知りたがっていた。『ハヨンガ』著者チョン・ミギョン、『82年生まれ、キム・ジヨン』キム・ナムジュなど26人が寄稿する得がたい一冊! 翻訳は「ハヨンが」「根のないフェミニズム」の大島史子さんです。2022年3月下旬発売予定。

『美しく散ってる場合じゃない(仮)』

 

 昨年7月に発売された「私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない 」(祥伝社刊)が大好評のコミュニケーション・ディレクター、キム・ジナさんの第2弾がアジュマブックスから発売に! 

 広告業界出身だけあって、今の時代を「言葉」で切り込む鋭さはまさに絶妙です。本書でも私たちのモヤモヤをスパッと解決してくれることでしょう。こちらも翻訳は「ハヨンが」「根のないフェミニズム」の大島史子さんです。ご期待ください。2022年4月発売予定。

アジュマブックスメールマガジン

第7号、いかがだったでしょうか?

 

 2022年は日本でも中絶薬がようやく承認される記念すべき年です。とはいえこのままでは私たちが望む形での『リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)』は手に入りません。

 

 私たちには『安全な中絶を求める権利がある』ということをあらゆる機会に訴えていきましょう。

 

 アジュマブックスは女性のために、これからも声を上げ続けていきます。

 皆様からのコメント、ご要望、ご質問、お悩み、何でも結構です。お待ちしております。

 

 

シスターフッドの出版社

アジュマブックス

 

お問い合わせ)

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