ニュースレター (令和元年11月)

金子経営コンサルティング事務所【中小企業診断士/特定社会保険労務士】

◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。

 

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1.高年齢者雇用開発コンテストの受賞企業事例

2.給与計算に関するHRテクノロジーについて

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1.高年齢者雇用開発コンテストの受賞企業事例

 

 2019年度の「高年齢者雇用開発コンテスト」の受賞企業が発表されました。

 

 このコンテストは、私がアドバイザーを務めている独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が厚生労働省との共催でこの時期開催されているもので、生涯現役社会の実現に向け、職場環境の改善や新しい職務の創出など、創意工夫を重ね、高年齢者が生き生きと働ける職場づくりを実現した事例を募集し、優れた取組みを表彰するものです。

 

 今年度の表彰では、医療・介護分野の事業所の事例が目立ち、慢性的な人手不足のもと、高年齢者の活用を積極的に図らざるを得ない状況にあるとも言えます。

 

 その中から、厚生労働大臣最優秀賞を受賞した「医療法人社団五色会」(香川県)の事例を紹介いたします。

 

 同社は1953(昭和53)年開業、現在は坂出市・高松市内に病院・診療施設4カ所、社会福祉施設4カ所、高齢者施設4カ所、保育施設1カ所を運営しています。

 職員数は454人で、内訳は60歳から64歳が39人、65歳から69歳が13人、70歳以上が5人となっています。

 

 当初は、若年者の定着に重点を置いた制度や環境の整備に取り組んでいましたが、その後常に人材不足の状況が続いたため、経験豊かな高齢者の雇用促進の取組みをスタートさせました。

 以来、勤労意欲の高い高齢職員がその能力を十分に発揮して、長く働くことができる職場環境づくりに一丸となって取り組んでいます。

 

 その取組みのポイントは、次のとおりです。

 

(1)定年年齢を65歳、継続雇用の上限年齢を70歳に引き上げ、それに伴い基本給の支給水準は定年

  時の水準が上限年齢まで適用されますが、昇給は行われません。また、役職は、原則として定年

  前の役職が継続されることになっています。 

 

(2)短時間正職員制度を導入しています。従来より職員の希望に応じて、個別に柔軟な働き方に対

  応してきましたが、この制度は希望する全職員を対象にするものです。

 

(3)所属長が全職員と個別に面談を行う「個別ミーティング」を年4回実施しています。このミーテ

  ィングでは、各職員の改善案の提出を事前に義務づけるもので、職員自ら創意工夫をして仕事を

  するようになるなど、モチベーションの向上につながっています。

 

(4)腰痛対策のために機械入浴槽を導入するなど、高齢職員の身体の負担軽減を考えた業務改善を

  実施したり、また、体力や能力に応じた配置転換を進めています。

 

 このような取組みの結果、今も現役で働いている高齢職員からは、次のような声が聞かれます。

 

 「私は好奇心が強いので、これから先もさまざまなことに挑戦していきたい」(71歳、男性)

 「患者さんはもちろん、若い職員さんとの会話が楽しく、毎日元気に働かせてもらっています」

  (70歳、女性)

 

 事例企業の取組みの中では、私は、(3)所属長が全職員と個別に面談を行う「個別ミーティング」に注目しています。

 たしかに個別面談する手間暇はかかりますが、得られる効果は極めて大きいものと考えています。

 

 

   独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:「エルダー10月号」

 

 

 

2.給与計算に関するHRテクノロジーについて

 

 給与計算に関するHRテクノロジーは、ひとことで言えば、給与計算をクラウド上で自動計算するシステムです。

 より具体的に言えば、あらかじめ基本給や諸手当の条件、各種保険の加入状況などをマスターに登録しておき、毎月の勤怠集計データを連動させると自動的に給与計算が行われ、給与計算結果が会計ソフトに連動したり、WEB給与明細を従業員に自動配信したりすることができます。

 

 給与計算に関するHRテクノロジーは、サービスの提供事業者が限られています。合法かつ正しい計算結果を導くためのプログラム設定、法改正に合わせたアップデートなど、高度な対応が必要なため、他のHRテクノロジーに比べ参入障壁が高いのが実情です。

 

 その中でも有力な選択肢は、次の3つが考えられます。

 

 ①人事労務free

 給与計算ソフトとしての単体機能だけではなく、簡易的ではあるが勤怠管理機能や人事労務手続書類の作成機能も付属していることに強みがあります。

 1つのソフトでシンプルに人事労務領域をカバーしたいという場合は有力な選択肢になります。

 また、スタートアップ企業で多く利用されている固定残業代や裁量労働制の給与計算の自動化に対応しているのも人事労務freeの強みです。

 加えて、会計freeと自動連携しているので、給与計算結果が自動的に会計ソフトに反映され、会計側の効率化も図ることができます。

 

  「人事労務free」

 

 

②マネーフォワードクラウド給与

 多くの勤怠管理ソフトとAPI連携していることが強みです。

 勤怠管理ソフトだけではなく、人事労務手続や人事評価に関するクラウドソフトとの連携にも積極的なので、様々なクラウドソフトを組み合わせてバックオフィスを整備していきたい会社にはマネーフォワードクラウド給与は向いています。

 また、人事労務freeより操作の難易度は高いのですが、コンビニのように時間帯に応じて時給単価が変わる複数時給に対応していたり、端数処理の方法をユーザーが選択できたりしますので、細かい調整をしたい会社には使い勝手がよいと感じます。

 マネーフォワードクラウド会計と連動していますので、人事労務free同様、会計側も含めた業務の効率化にも貢献します。

 

  「マネーフォワードクラウド給与」

 

 

③ジョブカン給与計算

 2018年6月にリリースされた後発ソフトであるものの、基本性能はしっかりしていて、既に高いシェアを得ているジョブカン勤怠管理を導入している会社には有力な選択肢となります。

 また、ジョブカンは会計ソフトを出していませんが、逆に採用管理ソフトや労務管理ソフト、ワークフローソフト等をリリースしていますので、会計との連携を考えるよりも人事労務領域をジョブカンシリーズで固めたい会社は、ジョブカン給与計算が向いています。

 

 「ジョブカン給与計算」

 

 

 現在、弥生給与やPCA給与などパッケージ型の給与計算ソフトを使って、業務がうまく回っている会社には、無理にクラウド給与計算ソフトに乗り換える必要はありません。

 例えば「やよいの給与明細オンライン」「Pay-Look」など、パッケージ型ソフトと組み合わせて給与明細をWEB配信する専用ソフトもリリースされていますので、既存のソフトを継続利用しつつ、業務効率の改善効果が大きい領域から順次クラウド化していくという対応も可能です。

 

 このようなソフト導入に対する主な助成金には、次のようなものがあります。

 

①時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)

 時間外労働の上限設定に取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。

 例えば、時間外労働時間数で月 45 時間以下かつ、年間 360 時間以下に設定した場合、対象経費の2/3(上限50万円)が助成されます。

 

 厚生労働省:「時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)」

 

 

②時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

 所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進等を図る中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。

 例えば、年次有給休暇の取得促進および所定外労働の削減を成果目標とし、両方とも達成した場合、取組の実施に要した費用の3/4(上限100万円)が助成されます。

 

 厚生労働省:「時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)」

 

 

 

 

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