2022年4月のニュースレター

4月です。北海道(ほっかいどう)・札幌(さっぽろ)は、
木々が芽を出し、草花が開花(かいか)の準備をする季節です。

 

今が春の始まりなのか、真ん中なのか、夏に近いのかは、
咲いている花の種類で感じることができます。
でも、涼しくて夏が短い北海道はちょっと違います。
日本国内では梅(うめ)の次に桜(さくら)が咲きますが、
札幌では梅も桜だいたい同じころに咲きます。
つつじも木蓮(もくれん)もチューリップも似たような時期に咲きます。
急に春になるのです。

街路樹が緑の葉をまとい、花々が一斉に咲き始めると、
まちの印象もモノトーンからカラフルに変身。
人々の気持ちも華やぎます。
毎年こんなに気持ちのいい春を体感できるから、
寒くて雪の多い冬にも耐えられるのかもしれないですね。

 

▼ふきのとうを見つけたエゾモモンガ(ぬいぐるみ)
2014.4.20 撮影 @円山公園

新しい春に、新しい茶話会

4月から、2つの新(あたら)しい月例(げつれい)の茶話会(さわかい)が始(はじ)まります。ぜひ参加(さんか)してください。

1)日本語(にほんご)ビギナー(Beginner)の茶話会 英語OK!
  1回目:4月16日(土)午後7時(19:00 JST)
  For those who want to challenge the C level.
  Let's start with simple Japanese. English support is available.

2)札幌(さっぽろ)ビギナー(Begi
nner)の茶話会
  1回目:4月8日(金)午前9時30分(9:30 JST)
  さっぽろ に すむ のは はじめて ですか?
  わからない こと は ありますか? しつもん に こたえます。
  [Roma-ji]
Sapporo ni sumu no wa hajimete desuka? wakaranai koto wa arimasuka?
  Sitsumon ni kotaemasu.

 

いつもの茶話会(さわかい)もあります。「春は足元から」をテーマにしたしょうようの茶話会(さわかい)は、4月20日(水)午後7時30分(19:30 JST)です。

今月(こんげつ)の「茶話(さわ)コン」は4月30日(土)午後11時(23:00 JST)からです。長(なが)くたくさん日本語(にほんご)を話(はな)します。
テーマは前回(ぜんかい)と同(おな)じ「日本語(にほんご)を学(まな)ぼうと思(おも)ったきっかけ」です。一緒(いっしょ)にお話(はな)しできるのを楽(たの)しみにしています。
※日本語が母語の方は、外国語を学ぼうと思ったきっかけを教えてください。外国語を勉強したことがない方は、話し手に
質問をたくさんしてください。

さわコン もうしこみ

「やさしい にほんご」でニュース

[ NHK NEWS WEB ]2022/03/24

軍事侵攻受けるウクライナ 北方領土元島民の思いは

ぐんじ しんこう うける ウクライナ ほっぽうりょうど もと とうみん の おもい は

このニュースを短(みじか)くして「やさしいにほんご」にしました。

 

1カ月(げつ)前(まえ)、ロシアがウクライナに攻(せ)め込(こ)みました。そのニュースを見(み)た福沢(ふくざわ)さんは、つらい気持(きも)ちになりました。
福沢(ふくざわ)さんは北方領土(ほっぽうりょうど)に住(す)んでいました。1945年(ねん)、5歳(さい)のとき、ソ連(れん)の軍隊(ぐんたい)が攻(せ)めて来(き)ました。島(しま)の人(ひと)たちは、船(ふね)で島(しま)の外(そと)に逃(にげ)げました。そのあと、ふるさとには二度(にど)と住(す)めなくなりました。
福沢(ふくざわ)さんは、「死(し)にたくない」と泣(な)いているウクライナの子(こ)どもをテレビで見(み)ました。77年前(ねんまえ)の自分(じぶん)のようだと思(おも)いました。ふるさとの島(しま)に住(す)むことはできません。でも、国(くに)の行事(ぎょうじ)で、北方領土(ほっぽうりょうど)の島々(しまじま)にビザなし*で16回(かい)行(い)きました。ロシアの人(ひと)たちと交流(こうりゅう)しました。
今月(こんげつ)、ロシアはビザなし*交流(こうりゅう)を止(と)めると発表(はっぴょう)しました。福沢(ふくざわ)さんは悔(くや)しがっています。

「最初(さいしょ)はロシア人(じん)を憎(にく)んでいた。でも、交流(こうりゅう)して、性格(せいかく)や考(かんが)えかたを理解(りかい)できるようになってきた。最初(さいしょ)には戻(もど)りたくない。情勢(じょうせい)が変(か)わったら、また同(おな)じつきあいを続(つづ)けたい」。
*ビザなし=visa-free entry

【今月の豆知識】北方領土(ほっぽうりょうど)

北方領土は、北海道の東にある歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島の島々の総称です。第二次世界大戦が終わった後にソ連軍が侵攻し、現在もロシアが法的根拠なく占拠し続けています。この北方領土問題があるため、日本とロシアの間では、戦後70年以上を経たにもかかわらず、いまだ平和条約が締結されていません。

北方領土に一番近い北海道には元島民が多数住んでいます。根室や標津など沿岸のまちからは国後島が肉眼で見えます。日本国政府は、ロシアのビザを取って北方領土へ渡ることはロシアの管轄権を認めることになるとの立場から、国民に入域自粛を要請しています。そのため、元島民はビザなし交流事業で島々に渡り、お墓参りなどをしていました。ビザなし交流事業はコロナ禍で2年間中止されており、今回のロシアからの通達は、高齢の元島民たちを大変落胆させました。
※左写真:北方領土啓発ポスター

●参考情報

・独立行政法人 北方領土問題対策協会
・外務省/日本の領土を巡る情勢/北方領土(英語)

のまどメンバーのエッセイ

「あなた」なしでも大丈夫 @ TSURU⌘

中学に入学して初めて英語の授業を受けた時、「彼」と「彼女」という日本語訳にとても異和感がありました。12歳のわたしの日本語では、「彼」とは「交際している男性」のこと、「彼女」とは「交際している女性」のことだったからです。
でも、何度も英訳や和訳を繰り返しているうちに慣れてしまって、気にならなくなりました。

もうひとつ、繰り返しているうちに慣れてしまった言葉に「あなた」があります。「きみ」「あんた」「おまえ」などに類する二人称の代名詞としては、訳語にもそんなに異和感はありませんでした。
その「あなた」に異和感を覚えたのは、英語の会話練習の中で同級生と日本語訳でやりとりをしたときです。例えば「Do you like tennis?」。訳せば「あなたはテニスが好きですか?」。でも、その同級生との関係性では「あなた」と呼ばれる発想がなかったので、なんだかヘンな感じがしました。「あなた」が最も似合うシーンは、妻が夫を呼ぶときだと思っていましたから(しかし、これはつくられたイメージです。わたしの母は父を、祖母は祖父をこう呼びませんでした)。

さて、その何十年かのちに韓国語を習ったときのこと。二人称の「당신(あなた)」はあまり使わず、「(名前)+ 씨」と言うことが多いと先生が教えてくれました。聞いたときは、不便だな、と思いました。英語の「YOU」があまりに便利すぎたせいです。
そして、その後にはたと気づきました。これは日本語も同じじゃないか!と。わたしの普段の会話に「あなた」は出てきません。相手の名前や役職を言っています。「あなた」「きみ」「おまえ」などを選ぶのは、怒りや嘲笑、距離感の表明などなんらかの特別な感情を持って話すときです。

この異和感の正体を説明してくれたのが、日本語教師の金谷武洋氏著『日本語に主語はいらない 百年の誤謬を正す』
(講談社選書メチエ)でした。日本語に人称代名詞はいらないのだとの主張に、のどの奥の詰まり物が溶けていく気がしました。「彼」「彼女」「あなた」は代名詞ではなく名詞なのだと考えるとしっくりきました。
金谷氏はカナダでの授業で学生に、教科書の文章の人称代名詞をカッコでくくらせて「これは訳すべからず」と言っておくことで、訳が自然な日本語になるように指導しているそうです。「Do you like tennis?」なら「テニスは好きですか?」です。確かに「あなたはテニスが好きですか?」よりは、ネイティブ日本人の日常会話です。

この本では、日本語を学ぶ学生から「あなた」と呼びかけられ、なんともいえない気持ちになった大学教授の話や、日系企業で日本人上司を「あなた」と呼んでクビにされた外国人の話が紹介されていました。
この本は2002年の発行なので、今はここまでの抵抗感はないかもしれません。でも、普段の会話なら「あなた」なしのほうがいいのは今も同じです。二人称代名詞を使いたくなったら、代わりに相手の呼び名を言ってみましょ
う。日本語らしさが増すと思います。

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