少年野球
夏といえば甲子園。
今年は100回記念ということもあり、
いつもに増して盛り上がっている気がします。
ぼくも野球少年でした。
ぼくの入っていた少年野球のチームは2年連続全国3位になったくらいの強豪で
全国大会で小学生のころのイチローのチームと対戦して勝ったこともあります。
その頃の少年野球の強豪チームといえば
ほとんどが監督が怖すぎて、ミスをするとぶん殴られるから頑張って勝つというような雰囲気だったような気がします。
当然、ぼくのチームにも監督の暴力が横行しておりました。
よく言われることですが、今騒がれているスポーツ指導者のパワハラ問題は当時日常茶飯事だったわけです。
このへんの話はポッドキャスト『こむぞう』でもよく話しているので、興味があれば聞いてみてください。
さて、今回はそんな少年野球の話。
先述したように、うちのチームは監督が恐怖の大王として君臨しておりました。
監督がカラスが白いといえば白い。
白熊が黒いといえば、白熊もツキノワグマになるくらいの絶対王政でした。
そんなビクビクした状況で毎日毎日休みなく練習をしておりました。
ある日の土曜日。
いつものように練習を終え、整列をして監督のありがたい御説法を聞いておりました。
(練習のあとはいつも御説法でした)
そして御説法の最後に明日の練習時間を告げられました。
その日、なぜか機嫌が良かった監督は、
明日の練習は9時から12時。何時に来てもいい、遅れて来てもいいからな。
何時に来てもいいけど絶対休むな、と部員達を試すようなことを言って練習を終えました。
練習はツラい。できればやりたくない。
だから遅れていいのであれば、できるだけ遅れて行きたい。
でも本当に遅れて行ってもいいのだろうか?
馬鹿野郎!遅れて来ていいと言っても早く来るもんだろうが!とぶん殴られる可能性もおおいにある。
ありまくる。
でも、できればオンタイムでは行きたくない、、そんな気持ちで迎えた翌日。
普通に練習に間に合う時間に起床。
オンタイムで行くべきか、ちょっと遅れて少しでも楽をすべきか。
家を出たものの、まっすぐ練習には行けず
だらだらと自転車を蛇行運転させ、
寄り道をしながらちょっと遅れて学校(グランド)に到着。
自転車置き場に隠れてグラントを見てみると
ほぼほぼ全員が揃って普通に練習をしております。
みんな、ビビってオンタイムで練習に行ってじゃねーよ!
いま、このまま練習に行っても怒られないかもしれない。
でも、監督は昨日のことを忘れていてぶん殴られるかもしれない。
どうせ遅れているんだから、
殴られるにしてもなんにしても遅れたほうが練習は少なくて済む。
もう少し遅れよう。
近所の駄菓子屋に行きお菓子をたべて時間と潰し、またグランドへ。
おーやっとるやっとる・・・・
などと言っている余裕はもちろんありません。
現在、練習開始から1時間ちょっと。
うーん、これはちょっとさすがに遅れすぎかもしれない。
遅れてもいいって言ったけど、1時間も遅れて来るやつがあるか、馬鹿野郎!ボコっボコっ(殴打の音)。
有りうる。おおいに有りうる。
どうしようか。
パターン1、この時間から練習参加その1=殴られないかもしれないけど、練習がしんどい。
パターン2、この時間から練習参加その2=殴られた上にしんどい練習に参加←これが一番きつい
パターン3、このまま練習をボイコット=今日という日は有意義に使えるけど、確実に明日殴られる
うーん(長考)
・・・3や!
ぼくは意を決して練習をボイコットして家に帰りました。
しかし有意義に使えると思っていた1日ですが、全然気持ちが落ち着きません。
デレビを見ても漫画を読んでも全く楽しくない。
明日確実に殴られるのがわかっているので、当然です。
翌日、学校にいくと同じチームの友達に
昨日なんで来なかったの?H君、11時50分に来たけど監督は笑ってたよ。
と言われました。
ミス!!!
明らかなセレクトミス!!
遅れてでも行けば良かった。
H君のようにギリギリで行けば良かった。
タイムマシーンがあったら昨日の自分に言ってやりたい。
その日の夕方。
ソワソワしながら練習へ。
ただでさえツラい練習に自分から殴られに行くというのはなかなかの拷問です。
準備運動やキャッチボールなどをしていると
ナンバー66-54のクラウンが登場。
それ即ち監督の車です。
監督の登場で全員が監督の周りに集合しました。
ぼくは列の後ろのほうでひたすら存在感を消していました。
昨日、練習に来なかった奴、前に出てこいっ!!!
その声に怯えながらソワソワしていると
監督はその日の練習メニューを話し出しました。
ん?
ひょっとして忘れてる??
このまま思い出すな!!
昨日のことを思い出すな!
忘れろ~忘れろ~。
昨日言ったことは忘れろ~。
ぼくは心の中で監督に催眠術をかけるように唱えました。
結局、忘れていたのか、ぼくが重要な選手じゃなかったからかわからないけど
監督は昨日のことを思い出すこともなく、ぼくはこの件で殴られずに済みました。
昨日の有意義な休日と無駄なソワソワを返せ!!
しかしながら、その日の練習でエラーをして結局別件で殴られることになるのですが。
やれやれ。
今ぼくは、草野球チームに入っております。
毎回4時間くらい練習をしているのですが、あっという間に終わります。
少年野球のころは1分でも早く練習が終わって欲しいと思っていたのですが、
今では過ぎてゆく時間が惜しいとさえ思えるくらい楽しく練習をしております。