「第3の性と呼ばないで」

毎日新聞に記事を掲載いただきました。

 

 2月25日の毎日新聞全国版に,日本性分化疾患患者家族会連絡会の「男女以外の第三の性別欄問題」についての記事を掲載いただきました。

 

 記事の中では記者会見の内容と,アンドロゲン不応症の女性,XX男性が判明した男性のインタビュー,大阪母子医療センターのDSDs専門医である川井正信先生と,元大阪母子医療センター助産師で大阪府立大学准教授の佐保美奈子先生のコメントも載っています。

 

 記事を執筆いただいた記者の岩崎さんは,優生保護法の問題や新型出生前検査など,「命と性」のテーマを深く追ってらっしゃる記者さんです。DSDsに対しても1年以上に渡って丁寧に理解を深めていっていただけました。ここに御礼を申し上げます。

 

 インターネット版は有料ですが,このニューズレターではインタビューを受けた当事者,医療従事者のみなさんのコメントを抜粋してお届けします。

 

「第3の性と呼ばないで」 性分化疾患、声を上げた当事者 | 毎日新聞

性染色体の型や性器の形などが生まれつき一般的な発達と異なる「性分化疾患」(DSD)という体の状態がある。その当事者でつくる団体が、米国のパスポート(旅券)に男女以外の「第3の性」の選択欄が設けられたことを機に声明を出した。「私たちは第3の性を求めていません」。その思いに耳を傾けた。 【岩崎歩/科学環境部】 ...

男性不妊検査でXX染色体が判明した男性

 

不妊治療のさなかの突然の告知。「頭が真っ白になった。自己欠損感が残った」

 

「男でも女でもない」「両性具有」といった
勝手な解釈を耳にすると、むなしさを覚える。正しい理解が進めば、心ない言葉に苦しむ当事者は減ると思う。

19歳にアンドロゲン不応症が判明した女性

 

19歳で診断を受け、「自分が何者か分からなくなった」。それでも「今までと変わらず女性ですよ」と医師がかけてくれた言葉に救われた。

 

「性に関わることを周囲のイメージであれこれ語られることで、生きる希望をなくしてしまう人もいる。不必要に介入しないでほしい」

大阪母子医療センターDSDs専門医 川井医師

 

「DSDは、自身の性をどう認識するかの性自認とは概念が異なる」

 

「男女にも生まれつきさまざまな体の状態があることを理解してほしい」

大阪府立大学准教授 佐保先生

 

「『男女の体はこうあるはずだ』といった固定観念が当事者を苦しめている。社会全体での学び直しが求められる」

 

「医療者やカウンセラーが連携して長期的に当事者や家族を支援する体制が整っていない」と、早急な支援体制の充実を求めている。

XY女性とXX男性の機序について

 インタビューを受けていただいたアンドロゲン不応症のXY女性と,XX染色体の男性について,DSDsについて詳しく知らない方や情報が古い方は,「男でも女でもない」「体は違うけど性自認が女性・男性」と短絡的に考えてしまわれるかもしれません。。

 

 ですが,DSDsはトランスジェンダーのみなさんの「性自認」の話ではありませんし,決して「男女以外の性」でもありません。

 

 染色体がXXでもSRY遺伝子が付随している場合は全くの男性に生まれ育ちますし,染色体がXYでもAR遺伝子の違いで全身の細胞がアンドロゲン(男性に多い性ホルモン)に反応しない場合は,やはり全くの女性に生まれ育つのです。

 

 今の学校の授業や性教育でも,人間の女性・男性の体の性の発達の知識はアップデートされておらず,あくまで基礎的な知識にしか過ぎません。トランスジェンダーのみなさんの「性自認」との混同もここから起きていることでしょう。

 

 ぜひみなさんには,知識のアップデートにご協力をお願いいたします!

 

 「男女以外の第三の性別欄」に関する記者会見の動画と当日のPDF資料,声明文,及びこのニューズレターを多くの方にご覧頂きたいと思っております。

記者会見PDF資料
「男女以外の第三の性別欄」について声明文

なぜDSDsを持つ人々に対する「男女以外の第三の性別欄」が危険なのか,詳しくはこちらのニューズレターも御覧ください。

なぜ第三の性別欄は危険なのか?

【よくある質問】

DSDsを持つ人々のためには,性別欄はどうすればいいですか?

 

 

 「その他」の性別欄は,診断だけでもトラウマを受けていて,「男でも女でもない」という社会的偏見におびえる大多数の当事者の子どもたち・人々には,まるで自分を名指しされたかのように感じられ,二次的なトラウマを与えることになります。

 

 そこで私達は,もし性別欄が必要な場合には,以下のような提案をしています。

第三の性別欄の問題について更に詳しくは…

 海外の第三の性別欄の問題点について,『ジェンダー法研究7号』所収の拙稿の一部をご紹介します。

 

 同号には,トランスジェンダーの皆さんの性別欄等を専門にしているヨハネス・グーテンベルク大学客員研究員の石嶋舞先生の「ドイツの性別登録における第3の選択肢と「インターセックス」」も掲載されています。

 

 ぜひお買い求めいただければと思います。

 
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