宝塚市で開催いただく講演が,講演後2週間ほどYouTubeにて無料配信されることになりました。
基本的にはこれまでのレクチャーと同じものですが,情報量が多いなどで,「何度でも聞きたい」とおっしゃっていただくこともあります。
配信視聴には事前申し込みが必要ですが,会場にお越しいただかなくても,全国の皆さんに何度でもご覧いただけます!
これまでレクチャーを受けていただいた皆さんからは,「目からウロコだった」「DSDsを大きく誤解していた」「人間の尊厳を大切にするということがどういうことなのか考えさせられた」など,大変好評をいただいています。
DSDsとは何なのか? 染色体がXYでも女性に生まれ育つことがある? LGBTQ等性的マイノリティの皆さんとの関係や,DSDsに対する誤解偏見とはどういうものなのか?
そして,なぜキャスター・セメンヤさんは東京五輪のトラックを走れないのか?
なぜ彼女は五輪に出られないにもかかわらず,
今になってまた,彼女の身体は彼女自身から剥ぎ取られ,
人身御供のように,理念的標本のように持ち出されるのか?
なぜ彼女はあんな目に遭わなくてはいけなかったのか?
そして,性を,人を大切にするとはどういうことなのか?
当事者・家族の皆さんには大変つらい話も含まれますが,広く皆さんに知っていただきたいと思っています。
ぜひお知り合いの皆さんやグループの方にもお知らせください!
宝塚市人権講演会
LGBTQだけじゃない
DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)とは?
日時:2021年7月10日(土)13:30~
会場:宝塚市立西公民館ホール
YouTubeにて7月10日以降2週間ほど配信されます。参加費:無料(YouTube視聴には事前申込が必要です)視聴申込締め切り:7月10日(土)15:30
申し込みにはお名前・ご住所・メールアドレスの登録が必要ですが,宝塚市様の取り扱いになります。
卵精巣性DSDサポートグループ
前回のニューズレターでもご紹介させていただいたのですが,かつて真性半陰陽(現在では医学的にも間違いで,人権支援上でも不適切な用語とされています)と呼ばれた「卵精巣DSD」を持つ皆さんのサポートグループからのマンガでの情報発信をご紹介させていただきます。
卵精巣性DSDは,いくつかあるDSDsの中でも,AIS(アンドロゲン不応症)等のXY女性と並んで,最も「男でも女でもない」「両性具有」「男女両方の特徴」といった偏見が集中しやすい体の状態です。
まずご紹介するのは「卵精巣性DSDって何ですか?」です。
「卵精巣」と聞くと,21世紀の現代でも,社会の皆さんは「両性具有がいる!」といったイメージを持ちがちだと思います。
ですが,現在DSDsに対して「両性具有」「男でも女でもない」「男女両方」「中間」といった意味の用語(Hermaphrodite)は差別的で医学的にも誤りとされています。
これは言ってみれば,たとえば『エレファント・マン』という映画をご存じの方なら分かると思いますが,
と呼んでしまうのと同じことなのです。
ある種の体の状態や疾患に対しては,「狼男」や「吸血鬼」「象男(エレファントマン)」といった,神話的なイメージが投影され,「見世物小屋」のような興奮した興味や関心を引きがちの歴史がありました。
卵精巣性DSD等のDSDs全般に対しては,21世紀の現代でも,「両性具有」といった神話的なイメージが投影され,やはり見世物小屋的な視線,あるいは「標本」を見るかのような「学術的興味・関心」の視線で見るという,19世紀以前の旧態的・差別的な状況が色濃く残っているのです。
「ジェンダー法研究7号」所収
「DSDs:体の性の様々な発達とキャスター・セメンヤ 排除と見世物小屋の分裂」
そのような,DSDsに対して神話的なイメージを投影する差別的状況が,現実の人間である当事者・家族の人々にどのような影響を与えてしまっているのか,いつもレクチャーでお話している内容の詳しい説明に加え,DSDsを持つ人々への「差別」の構造と人権の問題について書いています。注釈を含めて約6万字で,DSDsの全体像をご理解いただけるような内容になっています。
かなりハードな内容ですが,DSDsについてこれまでよりも更に詳しく知りたい・学びたいと思って頂ける皆さんにお勧めです。
「体の性のグラデーション(スペクトラム)モデル」は,DSDsに対する古い偏見を助長するだけでなく,DSDs当事者の子どもたち・人々の大多数に,二次的なトラウマを与えかねないものです。
現在「体の性」に対してグラデーション(スペクトラム)モデルをお使いの方は,どうかすぐにおやめいただき,もし知り合いの方でまだご存じない方がいらっしゃいましたら,このニューズレターを広くシェアいただき,理解をいただけるよう,お力を貸して頂ければ幸甚です。
皆様のおかげで,DSDsの正確で支持的な知識も徐々に広がりつつあります。
ですが,今でも教育現場などでは「DSDs=男でも女でもない性」という誤解・偏見が根強い状況です。
皆様からは,DSDsの誤解・偏見を解消していきたいけれども,どう伝えればいいかわからないというご質問をたくさん頂いております。
そこで,DSDsの正確な知識を広げるためのパワーポイント資料を作成いたしました。こちらは皆さんの講演・講義などでフリーでお使いいただけます。また,リンクを周りの皆さんに広めていただけることも歓迎いたします。
こういう資料がもっと欲しいというものがあれば,これからも遠慮なくお伝え下さい。
(このパワーポイント資料は,小中高等学校の児童生徒の皆さん用ではなく,教職員や一般の方向けのものになります。教室など子どもを対象としたものでは,どのようにDSDsについて触れるかは,次の「学校や教室でDSDsについて触れるには?」のパンフレットをご参照ください)。
「学校や教室でDSDsについて触れるには?」をバージョンアップしました。
性別欄の取り扱いを加えています。
現在,様々な学校でLGBTQなど性的マイノリティーの皆さんの「性の多様性」についての授業が行われるようになりました。それはとても喜ばしいことなのですが,大変残念ながら,時にDSDsについて古い誤った話が伝えられることによって,教室にいるDSDsを持つ子どもが不登校になってしまったケースが起きています。
DSDsの判明・説明後,特に思春期は重要な時期で,誤解や偏見に基づく横やりは当事者家族の命に関わりかねません。
性別欄の取り扱いも「男・女・その他」といった選択肢では,DSDsを持つ子どもたち・人々に二次的なトラウマを与えかねません。ではどうすればいいのか,パンフレットに記載しています。
皆さんには,ぜひこのパンフレットを周りの方とシェアいただき,DSDsの正確な知識の啓発にご協力いただければと願います。
「DSDs(体の性のさまざまな発達)の基礎知識と学校対応」所収
『LGBTQ+の児童・生徒・学生への支援』
LGBTQ等性的マイノリティのみなさんと同じく,学校や教室にいるかも知れないDSDs(体の性のさまざまな発達/性分化疾患)を持つ児童・生徒に対して,どういう配慮が必要なのか? もし相談されることがあるとしたらどうしたらいいのか? どうすればDSDsを持つ子どもたちにとって安全・安心な学校・教室にできるのか? そもそもDSDsとはどういうことなのか? 恐らくですが日本で初めて実践的な方法も含めて一章を担当しています。
学校でのLGBTQ+の子どもたちにとっても安全・安心な学校になるよう,どのような支援・配慮が必要なのか,海外の学校ではどのような取り組みが行われているのか?,LGBTQ専門の臨床心理士や学校の先生による,基礎知識だけではなく,より一歩進んだ内容になっています。