グルテンを摂らない「グルテンフリー」という言葉が生活の中で聞き馴染みある言葉になってきている気がします。ですがそもそも「グルテンが体に与える影響とは一体なにか」という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。今回はそんなグルテンに焦点を当てていきたいと思います。
グルテンは、小麦粉に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質が、水と混ざり合ってこねられることでできる成分です。このグルテンが、パンやパスタなどの小麦製品に弾力や粘り気を出しており、普段食べている食品の食感に大きく貢献しています。
このグルテンが基本的に良くないとされる症状には3つあります。
・グルテン不耐性・小麦アレルギー・セリアック病の3つです。
それぞれ体に出る反応が違います。
まず「グルテン不耐性」の人は、グルテンをうまく分解・吸収できないため、腹痛や下痢、便秘や膨満感が起きます。
次に「小麦アレルギー」の人は、IgE抗体というアレルギー反応に関わる抗体が、グルテンと結合することで、アレルギー症状を引き起こします。
皮膚のかゆみ、じんま疹、呼吸困難、アナフィラキシーショックなど摂取したら比較的すぐにその症状が起きます。
最後に「セリアック病」の人は、グルテンを摂取するとグルテンへの免疫反応により、自身の小腸の組織を攻撃して傷つけ、栄養が吸収できなくなる消化管の病気です。下痢、腹痛、体重減少、発育遅延、貧血などが起こります。
「グルテンフリー」とは主にこの3つの症状が出てしまう人が行うグルテンを摂取しない生活習慣だったのですが、どうやらグルテンは、日本人の遺伝的性質に合わないことが近年わかるようになってきました。
特に戦後、大量生産の為や、害虫に強い品種にするために改良された小麦は、本来のタンパク質構造が変わってしまい、消化しにくくアレルギー反応を引き起こる人が多くなっているというデータも出ています。
さらにグルテンが「リーキーガット(腸漏れ)」を引き起こす事もわかってきました。腸の内側は、腸壁と呼ばれるバリアで覆われており、このバリアがしっかりと機能することで、食物の成分や腸内細菌などが血液中に漏れ出すのを防いでいます。
しかし、グルテンを摂取するとこの腸壁のバリア機能が低下し、隙間ができてしまうと、本来腸内に留まるべき物質が血液中に漏れ出てしまう状態になります。これが「リーキーガット」です。
腸から漏れ出した物質は、免疫系を刺激してアレルギーや自己免疫疾患の原因となり、慢性的な炎症を引き起こして肌荒れ、アトピー性皮膚炎のベースとなります。また腸内細菌が産生するある種の化学物質は、腸から漏れ出して血液中に入り、脳に作用して慢性疲労、頭痛、集中力の低下や自律神経失調症、関節痛となります。
グルテンの影響は多岐にわたるので、まだまだわかっていないことも多いのですが、僕自身は小麦アレルギーではなく、小麦も大好きだったのですが、グルテンの摂取を控えるようにしてからというもの、肌の調子もお腹の調子も抜群に良いので、逆に戻れなくなりました。
とはいえ、完全に非摂取することは不可能に近いので、そこはあまり原理主義的にならず、主原料としての小麦(パンや麺類など)は控えますが、多少のグルテンの摂取は許容しています。
それでもどうしても小麦を食べたくなったり、避けられない状況などがあった場合は、グルテンを腸内から吸着させて除去してくれる「アクティベートチャコール(活性炭)」を活用しています。
最近では、スーパーなどでも小麦の代わりに米粉や代替品の食品が取り扱われることが多くなってきているので、徐々に浸透してきてはいるのかなと思いますが、テレビなどではスポンサーの意向もあってか、あまりグルテンについて触れられることがないように感じます。
とはいえ僕自身も「グルテンフリー」を誰にでもお勧めするわけではありません。子供の学校給食でも小麦はたくさん出ますし、好きなものを過度に我慢してストレスを余計に溜めてしまうのことも問題です。
なので、まずはご自身だけの取り組みとして、無理のない範囲で「試して」見るのが良いと思います。
ポイントはまた小麦食べたくなったら食べればいっか、くらいの軽い気持ちを持つことが重要だと個人的には感じていますが、3週間以上経過すると、腸の壁も修復されて、身体での体感がわかると思います。特にお肌や腸内環境は目に見えて改善されますので、その時に続けていくかどうかの判断をしてみてはいかがでしょうか。