◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。
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1.高年齢者雇用開発コンテストの受賞企業事例(1)
2.11月から新しくなるe-Gov
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1.高年齢者雇用開発コンテストの受賞企業事例(1)
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、厚生労働省との共催で、「高年齢者雇用開発コンテスト」を毎年実施しています。
このコンテストは、生涯現役社会の実現に向け、高齢者が活き活き働ける職場づくりに取り組む企業を表彰するもので、令和2年度は、厚生労働大臣表彰を始め28社が受賞しております。
その中からその取組み事例を2回に分けて紹介したいと思います。
今春には高年齢者雇用安定法が改正され、これからは70歳までの雇用・就業にいかに取り組んでいくかが課題となります。受賞企業の中には、制度上70歳までの雇用としながらも、70歳を超えて働ける会社も多く、まさに高齢者が戦力として活躍していることが伺えました。
厚生労働大臣表彰最優秀賞を受賞した「株式会社大津屋」(福井県福井市)は、1963年の設立以来、酒造業を営んできましたが、1981年にコンビニエンスストアに業態転換した企業です。
その後、県下大手コンビニエンスストアの進出に対抗し、地元の食材を活用して昔懐かしい味を再現する「店内料理」などで他店との差別化を図りながら、業容を拡大してきています。
人材を企業の「宝」として位置づけ、高齢者の特性を最大限に活かせる職場づくりに取り組んでいます。
当社では社員の高齢化が進み60歳以上の社員が増加傾向にあり、300人の社員うち、60歳以上は71人(男性18人、女性53人)で、全社員の23.7%を占めています。もともと店舗スタッフは若手中心でしたが、経験豊かな中高年層の積極的活用に切り替えてきた経緯があります。
高齢者活用のポイントは、次のとおりです。
①コンビニエンスストア事業の展開を契機に、店舗運営の省力化・標準化および人事管理制度の拡充
に取り組み、安心して働ける職場環境の整備を長年にわたり推進してきています。
人事評価は全社 員に対して、コンピテンシー評価を活用した人事評価を年2回実施し、社員から
好意的に受け止められています。
②2019年6月に70歳定年制を導入、従来は運用で行っていた継続雇用制度についても73歳までの雇用
を明文化しています。
当社では継続雇用に切り替わることによる賃金水準の減額などの待遇面での変更はありません。
また、ライフスタイルに合わせた短時間勤務制度も選択可能となっています。
③パソコンやPOSシステムを他社に先駆けて導入、作業の標準化と効率化を図ってきています。
最近では自動釣銭機、AIを活用した総菜自動会計システムを導入し、レジ作業の精神的負担を軽
減しています。
機器の操作が苦手な高齢社員に対しては時間をかけて操作方法の研修を実施し、その結果、すべて
の社員がパソコンでの受注・発注管理およびPOSを使いこなし、高齢社員の活躍の場の拡大につ
ながっています。
④高齢社員が積極的に新商品開発に参画することで、モチベーションの向上につながっています。
高齢社員が長年培ってきた経験や知識は「地産地消」の「故郷の味」の再現に発揮されています。
このように、食文化の伝承による地域貢献を目指し、年齢にかかわりなく活躍できる職場を創出している当社の挑戦は、まだまだ続いています。
筆者は、当機構の高年齢者雇用アドバイザーも務めており、高年齢者が活き活きと働ける職場づくりのご支援なども行っています。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:「エルダー2020年10月号」
2.11月から新しくなるe-Gov
政府の電子申請ポータルであるe-Govが11月24日に、ユーザーインターフェイスの改善やGビズIDによるログインなど、大幅な仕様変更が予定されています。
企業が人事労務手続の電子申請化を検討するにあたって、少なからずハードルになっていたのは、このe-Govの操作方法の難しさでした。
日本経済団体連合会による最近の調査では、36協定届や就業規則(変更)届等について、電子申請できることを知っている企業は86%である一方、実際に電子申請で行っている企業は、36協定届が3%、や就業規則(変更)届が6%と、1割にも達していません。
新しいe-Govでは、以下の5点が変わります。
①ユーザーインターフェースの刷新
従来のe-Govの操作画面は、民間のHRテクノロジーと比べ、操作が難しい印象でしたが、わかりやすいユーザーインターフェースに変わることでe-Gov利用のハードルが下がることが期待されます。
②マイページの導入
従来のe-Gov経由で電子申請した手続きは、申請者がパーソナライズに自分で登録しなければならず、登録を忘れると申請結果の確認や公文書の受取が困難になってしまう状況でした。新しいe-Govではマイページの導入により、申請後の状況確認や公文書の受取りが容易になります。
③GビズIDによるログイン
従来のe-Govでは、申請に必要な電子証明書を取得するにはコストがかかることや、電子署名をブラウザにインストールしなければならないことが電子申請の普及を妨げる要因となっていました。無料のGビズIDでログインできるようになれば、コスト面と操作面の双方からe-Gov利用の難易度が下がります。
④モバイル対応
法令や政府発表情報等をスマートフォンでも閲覧しやすくするのが主目的ですが、電子申請後の審査状況をスマートフォンで確認できるようになります。ただし、電子申請自体はPCで行う必要があります。
⑤MacOS対応
従来の電子申請はWindowsのPCからしかできないという状況であったことから、今回、MacOSにも対応することで、Macを利用している企業でもe-Gov経由による電子申請が可能となります。
また、今年11月には、マイナポータルを経由した税・社会保険のワンストップ手続も開始されます。
とはいえ、e-Govで電子申請できる手続きが、直ちにすべてマイナポータルに置き換わるわけではありません。
当面は、e-Gov経由の電子申請とマイナポータル経由の電子申請が併存することになります。
従業員の入社や退職の手続きなどワンストップで行ったほうがよい手続きはマイナポータル経由、それ以外はe-Gov経由というような使い分けが考えられるでしょう。
当事務所でもe-Govを利用している一方で、GビズIDを取得し、経済産業省関連の補助金申請で既に使用しています。
GビズIDの使用対象領域は拡大しており、取得していない企業は、早めに取得しておいた方がよいでしょう。
「e-Gov更改に伴う変更点について(電子申請サービス編)」
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