【声明】私たちは「第三の性別」を求めていません。

 

 日本性分化疾患患者家族会連絡会として,パスポートや戸籍,その他性別欄での「男女以外の性別欄」について声明文を発表しました。

  今回、アメリカでのパスポートに男性・女性以外の第三の性別としての「X」欄が設けられたというニュースがいくつかの報道機関によって報道されました。中には「男女両方の特徴」という誤った説明をする報道機関もありました。


 たしかに今回アメリカのパスポートで「X」の欄を認められた人は、何らかの DSDs のひとつをお持ちの方であると国際的な人権支援団体からも聞いております。ですが、その方はたまたま「男でも女でもない」という「性自認」をお持ちの方でしかありません。DSDs とは全く関係なく、個人の「性自認」が認められることは大切だと思いますが、私たちの DSDs の体の状態をして、「男女以外の性別」のように思われることは人権侵害に他なりません。

 

 DSDs に対しては、社会では「男女以外の性別」「男女両方の特徴」など、神話的な両性具有イメージで見られることが多いです。ですが、実はなによりも私たちは、自分の体の状態が、世間の人々から「男でも女でもない」「男女以外」であるかのように見られてしまうということこそを恐れて生きているのです。


 そして国際的な当事者人権支援組織も、私たちのような体の状態がまるで「男女以外の第三の性別」であるかのような誤ったイメージを広めたり、私たちの身体を使って男女以外の性別欄を求めようとすることは、DSDsを持つ子どもたち・人々を他の集団の人々の道具のように取り扱うことであり、私たちの生活と人生に広範囲の害を与える危険性があると表明しております。


 現実に、学校での LGBTQ 等性的マイノリティの皆さんについての授業で、DSDs を持つ人々がまるでグラデーションの中間領域の存在であるかのような説明をされて、不登校になった当事者の女の子のケースや、男女以外に「その他」が設けられているの性別欄を見て、自殺未遂に至った当事者女性などの相談も受けている状況なのです。

私たちは「男女以外の第三の性別」を求めていません。(声明文リンク)

 

 DSDsを持つ人々に対する「第三の性別欄」はどのような問題があるのか,このニューズレターをご覧の皆さんは御存知いただいていると思いますが,卵精巣性DSDサポートグループのみなさんが分かりやすい解説マンガを書いてくれています。

 日本の一部のLGBT活動家の方や,大学の先生の中には,海外の「インターセックス」当事者団体は「第三の性別」を求めているという思い込みによる誤解をしている方がいらっしゃいます。

 

 ですが,国際的な「インターセックス」当事者人権支援団体も,海外の各種DSDsサポートグループも,「第三の性別欄」は求めていませんし,そのように名指しされることを拒否しています。

 

 大変残念ですが,海外でも,一部のLGBTQ活動家の中には,自分たちのレトリックや政治的目的のために<インターセックス>を自分たちの道具のように利用する人がいらっしゃいます。

 

 今回のアメリカのパスポートの件も,ラムダ・リーガルというLGBTQ系の法律事務所が主導したもので,当事者団体が懸念を示しているにもかかわらず,それは完全に無視をして,まるで人身御供のように当事者全体を巻き込んだやり方をしてしまっています。

 

 このような状況に対しては,著名なインターセックス活動家も強い口調で非難しています。

 マスコミの方もかなり混乱されているようで,アメリカの当事者人権支援団体も,「第三の性別欄」には懸念を表明しているにもかかわらず,まるでそれを歓迎しているかのような思い込んで記事を書いてしまっている状況です。

 

 日本の大手のマスコミも,今回のニュースでインドのMtFトランスジェンダーのグループの「ヒジュラ」と混同して取り上げていたり,その他にも「どっちつかず」「衝撃!性スペクトラム!」などといったセンセーショナルな表現を使うこともありました。

 

 どうか,このニューズレターを御覧の皆さんや,日本の心あるLGBTQ等性的マイノリティやアライの皆さんは,私たちの極めて私的でセンシティブな身体の話を,自分の主張や政治運動,理論に用いる人がいれば,「それはダメだ」と声を上げていただくようにお願いいたします。

【よくある質問】

DSDsを持つ人々のためには,性別欄はどうすればいいですか?

 

 

 「その他」の性別欄は,診断だけでもトラウマを受けていて,「男でも女でもない」という社会的偏見におびえる大多数の当事者の子どもたち・人々には,まるで自分を名指しされたかのように感じられ,二次的なトラウマを与えることになります。

 

 そこで私達は,もし性別欄が必要な場合には,以下のような提案をしています。

第三の性別欄の問題について更に詳しくは…

 海外の第三の性別欄の問題点について,『ジェンダー法研究7号』所収の拙稿の一部をご紹介します。

 

 同号には,トランスジェンダーの皆さんの性別欄等を専門にしているヨハネス・グーテンベルク大学客員研究員の石嶋舞先生の「ドイツの性別登録における第3の選択肢と「インターセックス」」も掲載されています。

 

 ぜひお買い求めいただければと思います。

 
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