落とし穴
中学1年生のとき、初めてギターを手にして同級生と一緒にバンドを始めました。
そのバンドでベースを担当していたみっくんの家が建築屋さんで、
そいつんちの庭になぜか2両の貨物列車(!)が放置してあったので
毎週末、部活をサボってはその列車に集ってシコシコと練習をしておりました。
今考えると練習スタジオではなく、
そんなところで練習をするなんて結構面白い環境ですね。
その頃、地元のライブハウスは潰れてしまっていたので、
(存在していたとしても出演できたかどうかはわからないけど)
人さまにバンドをお見せする機会は学園祭くらいしかありませんでした。
ぼくの行っていた中学校は、たいした特色もないのですが、
なぜか学園祭に必ずバンドが出演しなければならないという暗黙の掟があり
それはぼくが中学に入る10数年くらい前から続いていることでした。
ぼくが中1のときは、
そのときの3年生がドラムとボーカルレスのメタルバンドという少し難解なバンドで出演して
その翌年はひとつ上の先輩の女の子バンドが、プリンセス・プリンセスのコピーバンドで出演しておりました。
中学生がギターを始めた時、
誰もが陥りやすい『早弾きってスゲー!!』という感覚を、ぼくも持ち合わせていたので
当然、最初はヘビメタ&ハードロックのコピーバンドに勤しんでいて、
3年生になったらそういった類のバンドで学園祭に出ようと思っていたのですが
先輩方のライブを見てヘビメタよりもPOPな路線のほうが受けがいいと思い
大胆な方向性の変更を経て
ビートルズのコピーバンドでの出演しようという話になりました。
中学3年生で体験する初めてのライブ(学園祭)。
共演はウィンクのコピーユニットだったな。
ぼくらはビートルズの曲を何曲か演奏しました。
今考えると恐ろしく拙い演奏だったと思うのですが
それでも結構盛り上がりました。
英語の歌を歌詩カードを見ないで歌っているとか
思ったより音がでかいとか、
そういった盛り上がり方だったような気もしますが
当時のぼくらとしては
それでもそれなりの充実感ややってやった感があったので
その日の夜にバンドのメンバーが集まって
駅前の京楽飯店という深夜までやっている中華屋さんで小さな打ち上げ(食事)をしました。
打ち上げの最中に、今日のライブでいい気分になって調子に乗った誰かが
もう一度ライブをやろう!と言い出しました。
調子に乗った誰か=それはぼくです。
昔から調子に乗りやすかったんですね。
先述したように地元にライブハウスはないので、
みっくんちの貨物列車から機材を出して
広い庭にドラムとかアンプを設置してやったらどうだろうか?
ということになり、
飲み物とかも用意して
隣の中学校の女の子とかも呼ぼうかとか
いろんなアイディアも出て
みんな、パーティやパーティやとテンションが上がっておりました。
ライブは日曜日の昼。
早急に日時も決めて来てくれそうな友達にも伝えて着々と準備を進めました。
ライブの当日は目が覚めるような快晴です。
初の野外フェス(!)とあってぼくらは死ぬほど浮かれておりました。
浮かれておりましたが、
近所の人には騒がしかったらごめんなさいという意味を込めて菓子折りをもって行くという
中学生とは思えない用意周到さ。
そこそこ人も集まってくれて
もっとも調子にのっていたぼくが
A Hard Day's Nightの最初のコードをジャーンとかき鳴らし
ボーカルの友達が最初の節を歌ってしばらくしたら、
見たこともないおっさんが長い棒を振り回してすごい剣幕で乱入してきました。
そこにいる全員が???と思っていると
おっさんは、おめーら、うるせーからやめろ!!と叫び散らしております。
一気にテンションが下がるバンドのメンバー!
見に来てくれた友達もバツの悪そうな最悪の雰囲気です。
怒り狂うおっさんをなだめて、
1時間くらいだけでいいのでライブやってもいいですか?と聞いても
ダメだ、うるせーんだよの一点ばり。
思わぬ珍入者によって、ぼくらの野外フェスは1曲も演奏することなく一瞬で終了しました。
しかし、、菓子折りを持って行ったのに変だなぁと思っていると
みっくんが『あっ!』という顔をしております。
「挨拶に行ってない家が一軒あった。あの人、そこのおじさんだ」
なんと!
みっくんの家の前後左右には割と住宅が密集しているのですが、
その中の実にわかりにくい場所にある一軒にだけ挨拶に行っていなかったようでした。
万全だと思っていても、どこかにある落とし穴。
そんな落とし穴に気がつかないと、準備していたことが思わぬ形で一瞬で終わります。
W杯開催の真っ只中ですが、
最近草野球をやり始めました。
中学時代、野球部だったこともあり否応無しいにテンションがあがります。
グローブやスパイクも購入して、やる気だけはマックスなのですが、
年も年なので、入念に準備運動をして挑みます。
日常でも練習前でもこれでもかというくらいストレッチをしております。
そんなやる気もマックス、怪我への気遣いもマックスの状態で練習をしていたら
全く想定外なことが起こりました。
それ即ち、肋骨にヒビ!
なにかで胸を強打したわけでもなく、
ただキャッチボールをしてノックを受けただけなのですが。
どうやら、おっさんが無理に運動をすると、たまに肋骨にヒビが入るそうです。
(ゴルフのスウィングなどでもなるらしい)
でもさぁ、肋骨って鍛えようないじゃん。
準備万全で挑んだはずなのに、思わぬ落とし穴。
整骨院の待合室でそんなことを考えながら、
中学のときの野外フェスの失敗を思い出したのでした。