◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。
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1.就職氷河期世代の採用について
2.特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
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1.就職氷河期世代の採用について
就職氷河期とは、平成5年から平成16年頃のバブル崩壊後、新規採用が厳しかった時期に新卒を迎えた世代のことを指します。
この世代は現在30代半ばから40代半ばに至っていますが、調査結果によると、推計では全国で約1,679万人存在しており、労働力の中核を担う20~69歳に占める割合は21.3%となっています。
そのうち不本意ながら非正規雇用で働く人は約50万人とも言われています。
学卒時の雇用状況により、今もなお不安定な就労が続いている、無業期間が長い、早期の離転職を繰り返し職業能力が育まれていない人や職務経歴を積めていない人が多くみられます。
このような状況下、国は、地方自治体や関係支援団体、企業側の協力も得ながら、就職氷河期の正規雇用者を3年間で30万人増やすことを目標に重点的に支援を行うことにしています。
「教育訓練や職業実習等を行い、正社員就職につなげる事業」「短期間で資格が取得でき安定就労につなげる事業」など、新たな支援サービスが用意されており、正社員就職への後押しをしています。
求人募集については、就職氷河期世代に限定した求人が出せるようになりました。
通常、募集年齢については原則不問としなければなりませんが、昨年8月からは、ハローワークを通じた募集・採用に限って就職氷河期世代の限定求人が可能とされました。
さらに今年2月の省令の改正により、令和5年3月までの間、企業での直接募集や求人広告、民間職業紹介事業者への求人申込みを行う際にも、就職氷河期世代に限定した求人が出せるようになりました。
ただし、求人申込みにあたり、留意しなければならない重要なポイントがあります。
①ハローワークに同じ求人を申し込んでいること
ハローワーク以外に就職氷河期世代限定求人を出す場合、ハローワークにも同じ求人を提出しなけ
ればなりません。その求人をハローワークにも申し込んでいること、またはハローワークの求人番
号を求人票に明示することが望ましいとされています。
②就職氷河期世代を対象としていること
求人票の対象年齢は、就職氷河期世代より少し幅広く「35歳以上55歳未満」となります。
なお、例えば35歳以上45歳未満など、その一部の年齢に限定することは認められていませんのでご
注意ください。
③安定した職業に就いていない人を対象としていること
求人票等において、安定した職業に就いていない人を対象とする旨の記載をする必要があります。
④期間の定めのない労働契約を締結することを目的とすること
求人票等において、労働契約の期間として「期間の定めなし」「無期雇用」などと記載する必要が
あります。
⑤職業に従事した経験があることを求人の条件にしないこと
必要とするまたは重視する経験、技能、知識等や免許・資格を条件として付す場合は、それらが実
務経験に関係ないものである必要があります。
なお、限定求人を出す場合は、必ず管轄のハローワークに問い合わせのうえ、不備がないよう確認することも必要です。
就職氷河期世代を採用した際、利用できる主な助成金は、以下のとおりです。
①トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
常時雇用に移行することを目的に一定期間(原則3カ月間)試行雇用する事業主に月額4万円を支
給。
②特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
正社員経験がない人や少ない人を正社員として雇い入れた場合、最大計60万円支給(後記詳細)。
③人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)
非正規から正規雇用労働者に転換することを目的として、雇用型訓練(有期実習型訓練)を実施す
る場合、訓練経費や訓練時間中の賃金の一部等を助成。
・経費助成:実費
・賃金助成:760円
・OJT実施助成:760円
④キャリアアップ助成金(正社員化コース)
企業内の非正規労働者を正規雇用労働者に転換等させた場合に支給。
・有期➞正規:57万円
・有期➞無期:28.5万円
・無期➞正規:28.5万円
人生100年時代といわれる今、40歳の人が70歳まで働くとすれば、まだあと30年もあります。
就職氷河期世代には、当時の社会情勢により、現在でもやむなく非正規雇用を繰り返している人が多くみられます。
こうした人は仕事は未経験でも人生経験は十分も持っており、再就職先で経験を積み、スキルアップ・キャリアアップをして企業に貢献し活躍してくれるものと期待されています。
求人募集の際は、就職氷河期世代の人にもぜひ目を向けてみてはいかがでしょうか。
2.特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
就職氷河期世代の正社員雇用推進を目的とした助成金です。
今年2月に「安定雇用実現コース」から「就職氷河期世代安定雇用実現コース」に名称が変更になるとともに、支給要件が緩和され、対象労働者の雇用が容易になりました。
ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている人を正社員として採用し、一定期間経過後に申請することができ、所定労働時間が週30時間以上の短時間正社員としての採用でも対象となります。
採用して、すぐに支給されるものではなく、雇入れ日から6カ月経過後に30万円、1年経過後に30万円と2回に分けて支給されます。
支給要件に合致すると、助成金の1回目の支給申請書類は自動的に事業主に郵送されます。2回目の支給申請書類は1回目の助成金支給決定通知書と一緒に郵送されます。
1年間に採用する人数の限度はなく、何人採用しても助成金を申請することができます。
主な支給要件は、以下の4つの条件にすべて当てはまる労働者となります。
①年齢
雇入れ日時点の満年齢が35歳以上55歳未満の者
②正社員経験
雇入れ日の前日から起算して過去5年間に正社員として雇用された期間を通算した期間が1年以下で
あり、雇入れ日の前日から起算して過去1年間に正社員として雇用されたことがない者
③現在の就業状態
ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介の時点で以下の2つの要件を満たしていること
・失業状態または非正規雇用労働者
・ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等で就労に向けた個別支援等を受けていること
④就業希望
正社員として雇用されることを希望している者
支給要件が緩和され、正社員経験の有無も過去5年間に限定し、非正規雇用労働者で働いている労働者も対象となりました。
求職者が、上記4つの条件に当てはまることを記載した「対象者確認票」をハローワークに提出し、求人事業主に助成金対象者であることを伝えますので、求人事業主は対象労働者であることを把握したうえで採用することになります。
就職氷河期世代は、能力はあるのに採用枠が少なかったために正社員になれなかった労働者が多いという問題がありました。正社員採用に意欲的な企業にとって、活用したい助成金です。
厚生労働省:
「特定求職者雇用開発助成金 (就職氷河期世代安定雇用実現コース)」を新設します!
「特定求職者雇用開発助成金 (就職氷河期世代安定雇用実現コース)」のご案内
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