◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。
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1.令和2年度注目の補助金
2.高年齢雇用継続給付の改正
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1.令和2年度注目の補助金
従来から人気のある補助金ですが、令和2年度には採択数が大幅に増加することなどにより注目すべき補助金について、ご紹介します。
(1)小規模事業者持続化補助金
本補助金は、全国の商工会・商工会議所が支援窓口になり、小規模事業者(従業員5名以下、製造業などは20名以下)向けに、経営計画に基づいて実施する主に売上を上げるための取組みを支援するものです。
補助率は対象経費の2/3以内で、原則50万円を上限としています。
昨年度の採択率は高く、特に都市部での採択率が向上しています。
昨年から全国商工会連合会管轄と日本商工会議所管轄の地域で申請窓口(事務局)と公募期間が異なるようになりました。同時に、公平性の観点から連続の採択は難しくなるような調整が入りました。本年度もこれらは維持されることが予想されます。
昨年度と本年度の違いは、大きく3点です。
①複数回公募実施昨年度の採択数3万9,945件に対して、本年度は10万事業者が採択される計画です。
そのため、複数回申請受付が実施され、3~6ヶ月ごとに採択発表が行われる予定です。
②ビジネスコミュニティ型の追加これまでの販路開拓の取組み等が対象になる「一般型」のほか、地
域の若手経営者等または女性経営者等のグループによる取組みが対象となる「ビジネスコミュニテ
ィ型」が新設されることになりました。ビジネスコミュニティ型は定額で上限50万円の補助額とな
る予定です。
➂常時交付申請受付本年度予定の10万事業者に対して交付金支払いを実現するため、昨年度までは年
度後半に開設していた交付申請受付窓口を、本年度は常時開設する予定です。
(2)ものづくり補助金
本補助金は、商業、サービス業の中小企業の革新的な取組み(新商品・試作品開発、新サービス開発等)にかかる設備投資・開発費用等が対象となるものです。
補助率・金額は徐々に下がる傾向にありますが、補助率は対象経費の1/2~2/3で、補助限度額は1,000万円~1億円と比較的高額です。
昨年度の採択数9,531件に対して、本年度は3万事業者が採択される計画です。
一般的に年2回実施され、スケジュールは、補正予算分が3月公募、5月上旬締切りで、事業実施期間は7月上旬~11月30日または12月31日。通常予算分は夏以降公募されます。
例年30%~40%の採択率となっていますが、そのほとんどが先端設備導入計画または経営革新計画の認定事業であり、その未認定事業での採択は難しいとされています。
本年度のものづくり補助金は、賃上げ(年率平均1.5%以上)が申請条件になるなど、採択条件が厳しくなる予定です。
令和元年度補正の一般型(1次締切)は、3/10公募、3/26申請受付、3/31第1次締切りとなっています。なお、申請は電子申請であり、GビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。
全国中小企業団体中央会:
令和元年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の公募について
2.高年齢雇用継続給付の改正
高年齢雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の2種類ありますが、令和7年4月1日から支給率等が変更になります。
具体的には、給付金の支給条件である再雇用時の賃金低下率の下限が100分の61から100分64に引き上げられるとともに、支給率の上限が100分の15から100分の10に引き下げられます。
もともと高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用の継続の援助・促進を目的に平成6年に創設された制度で、これまで段階的に廃止すべきとの提言がなされる一方で、実態としては広く定着し、高年齢者の雇用促進に重要な役割を果たしてきました。
高齢者雇用の現状をみると、60~64歳の就業率は68.8%(平成30年)、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は78.8%(令和元年)に達しており、既にその使命は終わりつつあると言えます。
ただし、激変緩和措置から、令和6年度までは現状を維持したうえで、65歳未満の経過措置が終了する令和7年度から、新たに60歳となる高年齢労働者への給付金の支給率の引き下げが行われます。
60歳定年後の再雇用時に、高年齢雇用継続給付を含めて賃金決定している企業は多く、高年齢雇用継続給付の支給率低下は、多くの高年齢労働者を抱える企業にとって大きな影響を及ぼすものと思われます。
例えば、60歳到達時の賃金月額が40万円であった労働者が再雇用時に24万円となった場合、賃金の低下率は60%となることから、支給率は15%となり、高年齢雇用継続給付金は24万円×15%=3.6万円支給され、再雇用時の賃金額は合計27.6万円となります。
この時多くの企業が、60歳台前半の在職老齢年金制度、すなわち受給している老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円を超えると年金の支給停止が行われることを説明し、賃金低下に関する同意を得ているものと思われます。
しかし、今回の改正により、支給率は10%となるため、先程の例では24万円×10%=2.4万円と1.2万円の減額になります。
60歳台前半の在職老齢年金制度については、現行の28万円から47万円にひきあげられる改正が行われる予定となっており、これまでのような賃金低下の説明が難しくなります。
また、令和2年度(中小企業の場合は令和3年度)から改正施行されるパートタイム・有期雇用労働法により、企業は雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保が求められることになります。
定年後の再雇用という理由だけで賃金低下をさせるのは説明が困難です。
さらに、高年齢者雇用安定法の改正により、企業は今後70歳までの雇用または雇用に準じた対応を求められることになります。
企業では、定年後の再雇用時または高年齢労働者の新規雇用時の待遇について、どのような賃金水準で雇用するのか、正社員等の他の雇用区分の従業員を含めた賃金制度の見直しを早期に着手することが必要でしょう。
厚生労働省:「職業安定分科会雇用保険部会(第 137回)」資料
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