「日本は楽園ではない」 技能実習生最多のベトナムで起きた変化
毎日新聞
2022/10/14 06:00(最終更新 10/15 14:15)
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外国人が日本で技術を学ぶ技能実習制度は、技術移転を通じて途上国の発展を担う人材をつくるという理念の一方、低賃金で働く労働者として農業や建設業などの現場で重宝されてきた側面がある。だが今、最大の送り出し国ベトナムで、日本を回避する動きが生まれている。日本の産業を支える国で何が起きているのか、現場で探った。
水際緩和で期待の一方
「日本の求人に応じる実習生候補者を集めにくくなった」
国内に約500の送り出し機関があるベトナム。9月上旬に首都ハノイと南部ホーチミンで取材した複数の送り出し機関幹部は口をそろえて打ち明けた。
厚生労働省の統計によると、日本で働くベトナム人の数は2020年に中国を抜いて1位になった。44万3998人で、全体の25・7%を占める。急増の主な要因が技能実習生の増加だ。法務省の統計によると、日本に滞在する技能実習生は19年には過去最多の約41万人に。国籍別(21年末)ではベトナムが最も多い約58%を占め、中国約13%、インドネシア約9%と続く。
新型コロナウイルスの影響で全面禁止されていた外国人の新規入国が、今年3月1日から認められるようになり、これまでベトナムで足止めされていた技能実習生たちの入国が続々と始まった。今月11日には1日5万人の入国者数上限も撤廃。人手不足に悩む農業・漁業や製造業の現場には朗報のはずだった。
広まる悪評と円安
だがベトナムの若者らにとって「日本」のイメージは以前ほどよいものではなくなっている。日本の技能実習生が置かれた過酷な労働環境がベトナム国内でも頻繁に報道されているからだ。
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