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先月末の衆議院選挙では4野党共闘の結果、議席を13減らし、維新の躍進のために、改憲に必要な3分の2以上の議席を許してしまい、女性たちは傷つきました。しかし時代は着実に変わってきています(詳しくは11月11日に開催されたフラワーデモオンラインを是非、ご覧ください)。
短い選挙期間にも関わらず、4野党共闘で、与党の大物議員が大幅に得票数を減らし、小選挙区では議席数を伸ばし、与党が落選や敗退。多くの選挙区が接戦でした。結果、比例を加えた全体の数字では与党に比べ、議席を失う数(▲12vs▲13)は1議席しか差がありませんでした。
4野党共通政策の6つの柱の一つに、ジェンダー平等が掲げられました。選挙の争点になったことは画期的なことです。これは2019年から続いてきたフラワーデモなどの女性たちによる運動がもたらした成果ですが、日本のマスコミはほとんど報道していません。
国民審査では、夫婦別姓を認めない、現在の民法は「合憲」とした4裁判官への罷免要求が突出しました(「違憲」裁判官3名より平均で43万票あまり「×」が多い)。また夫婦別姓と同性婚に反対する議員も、小選挙区で47.5%が敗退しました(比例復活を除くと28.3%が落選)。これはヤシノミ作戦などのSNSによる呼びかけがもたらした成果でした。
これまでにない女性たちが団結した熱い選挙戦、女子学生たちからのリアルな応援にも関わらず、女性議員数は2名減ってしまいました。しかし、その結果、直前の候補者決定のプロセスや比例名簿順位の是非が議論されるようになってきました。
これらの成果から目を反らせようとする、ネガティブキャペーンにめげている場合ではありません。
来年の夏の参議院選挙までに解決すべき課題がたくさんあります。
参院選は125議席中、1人しか当選しない1人区が32もあります。マスコミは野党共闘が失敗だと言い立てていますが、共闘しなければ野党同士で票が分散し、さらに議席を失っていました。マスコミの批判に怯むことなく、4野党共通政策の実現、とりわけジェンダー平等の実現を目指していきましょう。
そのためには女性議員を増やさなければいけません。衆院選ではそもそもの候補者が増えませんでした(186人、17.70%。前回は209人、17.71%)。候補者が少なければ当選者が増えるわけがありません。そして比例の順番の決め方も問題です。現役優先というと一見公平そうに見えますが「現役優先」はつまり、旧来の「男性優先」維持ということなのです。衆院選で弱かった比例票を再び失わないためにも、ここは「女男同等」を強く要求していかなくてはなりません。
性暴力根絶、リプロの問題解決、憲法改正の阻止は、政治の問題なのだと訴える運動をさらに強く展開し、これらの問題を解決しなければ、女性議員を増やさなければ、参院選では勝てないと訴え続けていきましょう。
2017年、明治40年の制定以来110年ぶりに大幅改定した性犯罪法ですが、「暴行・脅迫要件の見直し(不同意性交罪の導入)」や「性交同意年齢(13歳以上)の引き上げ」に加えて、「セクシャルハラスメントへの罰則付きの措置をもった禁止法の制定」など、多くの課題が残されています。法務省の2回目の法制審議会は11月29日です。関心を集めていきましょう。
そして、家父長制維持のため、女性の人権がないがしろにされている「リプロの問題」も忘れてはいけません。女性が自分の体のことを自分で決められないのは、女性への性暴力の一形態です。堕胎罪の廃止、中絶の配偶者同意要件の削除、安価で安全な経口中絶薬などの認可を、強く求めていきましょう。
さらにゆゆしき問題は憲法改正問題です。前文と9条の改正がクローズアップされていますが、24条(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)改正はジェンダー平等を脅かす、時代に逆行した危険な改正(個人尊重から家制度尊重へ)です。先進国に追いつくつもりがないどころか、後進国化、戦前の男尊女卑の社会に戻そうというものです。改憲の国民投票を求める維新が加わり、改憲派は3分の2以上になってしまいました。参院選では何としてでも阻止しなければなりません。
参院選まであと8ヶ月しかありません。
ひとりひとりの尊厳が守られるにはジェンダー平等と平和が必須の条件であるということをよくよく確認して、来年7月の選挙に立ち向かいましょう!