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1.子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得
2.GビズID(法人共通認証基盤)
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1.子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得
育児介護休業法の子の看護休暇・介護休暇については、施行規則の改正により、令和3年1月から時間単位での取得も認められるようになります。
現行の制度では、1日単位に加えて半日単位の取得が認められており、会社が特例を設けない限り、労働者は半日よりも短い単位で子の看護休暇および介護休暇は取得できないことになっています。しかし、健康診断や予防接種、介護の専門家との相談など、要件によって所要時間が異なることや、時には突発的な対応が必要となることもあり、活用が期待されているところです。
また、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者については、そもそも現行の半日単位での取得は認められていませんでしたが、この改正により時間単位での子の看護休暇・介護休暇の取得ができるようになります。
時間単位取得というと、年次有給休暇の時間単位取得を思い浮かべる方も多いかと思われますが、両者には、以下のような異なる点があるため、注意が必要です。
①子の看護休暇
・時間単位取得を認めることは会社の義務であり、労使協定の締結は不要
・原則「始業時間から連続」もしくは「終業時間に連続」する形でしか取得できない
・休暇中の給与は原則無給
②介護休暇年次有給休暇
・時間単位取得を行うには、労使協定の締結が必要
・取得に制限はなく、中抜けのための取得も会社は認める義務がある(時季変更権の行使は可能)
・休暇中の給与は必ず有給
子の看護休暇の時間単位取得の規定例は、以下の通りとなります。
1 小学校就学前の子を養育する従業員は、申出によりその子が1人の場合には1年に5日まで、2人
以上の場合には1年に10日まで次の事由により看護休暇をとることができる。この場合の1年間と
は、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
①子が負傷し又は病気になったとき
②子に予防接種を受けさせるとき
③子に健康診断を受診させるとき
2 前項にかかわらず、会社は労使協定により除外された次の従業員からの申出を拒むことができ
る。
①入社6ヵ月未満の従業員
②1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
3 子の看護休暇は、1時間単位で取得することができる。ただし、時間単位で子の看護休暇を取得す
る場合、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続する形で取得しなければならない。
4 時間単位の子の看護休暇を取得する場合の、1日の子の看護休暇に相当する時間数は、以下の通り
とする。
①所定労働時間が3時間を超え4時間以下の者・・・4時間
②所定労働時間が4時間を超え5時間以下の者・・・5時間
③所定労働時間が5時間を超え6時間以下の者・・・6時間
④所定労働時間が6時間を超え7時間以下の者・・・7時間
⑤所定労働時間が7時間を超え8時間以下の者・・・8時間
5 1項各号の場合で、会社が必要と認める場合、医師の診断書等事実を証明することができる書類
の提出を求めることがある。
6 子の看護休暇の期間は無給とする。
改正省令では、従来の半日単位取得が削除されていますが、もちろん、取得する時間数が半日分になるように調整すれば、これまで通り半日単位での取得は可能であり、現行の通りの感覚で半日取得できるように、あらかじめ半日単位の取得のフォーマットを用意しておくこともできます。
子の看護休暇および介護休暇の時間単位取得が可能になったことについては、労働者への周知が必要です。
特に、これまでの半日単位取得と時間単位取得との違いについては、重点的に説明を行っておいたほうが、後々トラブルになることを防ぐことができます。
また、所定労働時間が4時間以下の短時間労働者がいる場合は、そうした者であっても時間単位取得は可能であることを説明する必要があります。
厚生労働省:「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」
2.GビズID(法人共通認証基盤)
GビズID(法人共通認証基盤)は、1つのアカウント複数の行政サービスにログインできるシステムのことです。
現在は、行政手続を電子申請で行う場合、社会保険や労働保険はe-Gov経由、国税はe-TAX経由、地方税はeLTAX経由というように、窓口も申請方法もバラバラなため、これらの行政手続を将来的に1つのアカウント経由で統一してできるようにするのが、GビズIDの目的です。
GビズIDには、GビズIDエントリーとGビズIDプライムの2種類が用意されていますが、いずれも発行手数料は無料です。
GビズIDエントリーは、メールアドレスだけで簡単に作成でき、IDも即日発行されます。これに対し、GビズIDプライムは、法人の印鑑証明書を添えて郵送で申請書を提出し、審査を受けたうえでIDが発行される手順となっています。
GビズIDエントリーだけで何ができるようになるかは現在のところ明らかになっていませんが、少なくとも電子申請を行うためには、GビズIDプライムを取得しておくことが必要です。
令和2年中にGビズIDプライムを使ってできるようなことは、現時点で4つあります。
①経済産業省系の補助金の申請
経済産業省は、令和元年12月13日に「Jグランツ」という補助金申請システムの運用を開始しまし
た。GビズIDでJグランツにログインすることによって、補助金の電子申請を行うことができま
す。
②社会保険や労働保険の一部の手続き(令和2年4月より)
従業員の入社・退職に伴う被保険者資格の取得・喪失手続、社会保険の算定基礎届や月額変更届な
どの手続きについて、GビズIDを利用した新方式の電子申請が始まります。
③GビズIDでe-Govにログイン可
e-Govのアップデートにより、従来は電子署名を添付してe-Gov経由で行っていた社会保険・労働
保険の各種手続が、GビズID等によるログイン方式に変更になります。
④GビズIDとマイナポータルを併用した電子申請
これにより、早ければ令和2年11月から、ワンストップ型の効率的な電子申請が開始となり、対象
となる手続きは徐々に拡大されていく予定です。
このように、行政手続の効率化は、GビズIDを軸として進められています。
電子申請義務化対象の大企業であるかどうかにかかわらず、バックオフィス部門の生産性向上の観点からも早めにGビズIDを取得しておくことをお勧めします。
経済産業省:「GビズIDへようこそ」
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