◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。
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1.外国人技能実習制度の改正
2.キャリアアップ助成金
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1.外国人技能実習制度の改正
【法改正の背景】
昨年11月の臨時国会で、外国人技能実習制度に関する改正法が成立し、今年の11月から新制度へ移行することになりました。
外国人技能実習制度は、「発展途上地域等の経済発展を担う人づくり」という国際貢献の趣旨により、平成2年に始まりましたが、安価な労働力確保策として悪用されているといった国内外の批判を受けて、改正が重ねられてきました。
平成22年改正では、技能実習生に日本の労働法が適用されることになり、現在は実習生との雇用関係の下で、最長3年間の技能実習が行われています。
実習には2タイプがあり、①事業協働組合や商工会など非営利の監理団体が実習生を受け入れ、傘下企業等の実習実施者が実習を行う「団体管理型」と、②日本の企業等が現地法人等の職員を受け入れ、実習する「企業単独型」に分かれます。
平成28年度末時点で、対象74職種、実習生約23万人となっており、このうち約20万人が団体監理型で、監理団体は約2,000に上っています。
実習する企業や外国人実習生からは概ね評価されているものの、制度の趣旨を理解しない一部による不正行為が発生しており、いまだに人権問題が指摘されています。
一方、実習現場からは、対象職種の拡大や受入れ期間の延長など制度拡充への要望が少なくないことから、これらを踏まえて改正されたものです。
【新制度のポイント】
大きな改正点は、(1)技能実習制度の適正化に向けた監理監督体制の強化、(2)優良監理団体等の受入れ期間の延長等、(3)介護職種の追加の3つです。
(1)監理監督体制の強化
新制度では、監理団体は許可制、実習実施者は届出制となり、技能実習計画はそれぞれに認定を受けることになりました。
この権限を有する「外国人技能実習機構」(厚生労働省と法務省が所管する認可法人)が設立され、監理団体には毎年、実習実施者には3年に1回の頻度で実地調査が行われます。法令違反等には改善命令や業務停止命令に加えて、許可・認定の取消し処分もあります。
また、監理団体の許可要件として、外部監査の措置が盛り込まれました。監理団体が行う実習実施者への監査等の業務が適正かを外部の目で確認するもので、監理団体は、外部役員か外部監査人を置き、定期的に外部監査を受けなければならなくなりました。
(2)優良監理団体等の認定
技能等の修得実績、法令違反の有無等を基準とする、監理団体、実習実施者の優良認定制度が設けられ、優良基準に適合すると、受入れ期間が2年間延長されて、最長5年間に、実習生の人数枠(規模30人以下は3人)も拡大されます。
また、地域限定・企業独自の職種が認められる可能性もあります。
(3)介護職種の追加
介護職種は、介護サービスの特性を踏まえて、具体的な制度設計を進めたうえで、新制度の施行と同時に追加される予定となっています。
宮城県内においても、技能実習生は2,234人(平成28年10月末現在)で、前年同月比40.3%増加しており、人手不足が続く中、貴重な人財となっており、実習実施企業は、労働関係法令等の遵守がなお一層求められています。
法務省入国管理局、厚生労働省職業能力開発局
「新たな外国人技能実習制度について」
2.キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、正社員転換をはじめ、有期契約労働者等の待遇アップを考えている企業におすすめで、平成29年度からメニューが細分化されるなど、かなり使いやすい助成金となりました。
これは、政府が掲げる「同一労働同一賃金」への流れを踏まえたものであり、この傾向は来年度以降も続くと思われます。
(1)正社員化コース
有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換、または派遣労働者を直接雇用した場合に助成されます。
平成29年度の改正により、多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)への転換の区分が廃止されて正規雇用の枠に一本化されました。
(2)人材育成コース
有期契約労働者等に対して、1コース20時間以上の一般職業訓練などを行った場合に助成されます。
人材育成コースは、「一般職業訓練」、「有期実習型訓練」、「中長期キャリア形成訓練」の3つに分けられます。
(3)健康診断コース
有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断」を新たに規定し、延べ4人以上の対象労働者に実施した場合に助成されます。
(4)賃金規定等共通化コース
雇用する有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者との共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成されます。
(5)諸手当制度共通化コース(新設)
有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者との共通の諸手当に関する制度を新たに設けて適用した場合に支給されます。
キャリアアップ助成金は、「同一労働同一賃金」への政策的な誘導から、比較的取り組みやすく、申請件数も多い助成金の1つとなっています。
厚生労働省「キャリアアツプ助成金」
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