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1.働き方改革関連法の政省令・告示等の公布(1)
2.高年齢者雇用開発コンテストの受賞企業事例
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1.働き方改革関連法の政省令・告示等の公布(1)
7月6日に公布された働き方改革関連法のうち、平成31年4月から施行される労働基準法関係と労働安全衛生法関係の政省令及び告示等が9月7日に公布されました。
今月から3回シリーズで、その内容を整理したいと思います。1回目は、時間外労働の上限規制に関してです。
1.36協定の新様式を公表、厚生労働省のホームページに掲載
新たな36協定の様式は、原則的上限の範囲内で定める場合に使用する様式など、全部で7種類に分かれました。
内容に関しては、時間外労働の上限規制が月・年単位で設けられていることから、36協定においても延長することができる時間数を定める単位を「1日」「1箇月」「1年」に固定するほか、協定の「有効期間」や「起算日」を明確にしています。
また、時間外労働及び休日労働を合算した時間数が、1ヵ月について100時間未満、かつ2ヵ月から6ヵ月までを平均して80時間を超過しないことを遵守させるため、その規定にかかるチェックボックス欄が設けられています。
さらに、原則の上限を超えて労働させた者に対しては、健康福祉確保措置を定めなければならないことから、様式裏面の医師による面接指導の実施、深夜業の回数の制限、勤務間インターバルなどの措置を選択した上で具体的な措置内容を記載するようになっています。なお、使用者は健康福祉確保の実施状況を記録し、36協定の有効期間満了後3年間の保存義務を負うことになっています。
2.限度時間内でも使用者に安全配慮義務、36協定指針で留意事項に明記
労働時間の延長及び休日労働について留意すべき事項等に関する指針も公布されており、この指針に基づき行政官庁による助言・指導が行われることになっています。
指針は、労働時間の延長及び休日労働は必要最小限にとどめ、原則的上限を超えない36協定を締結するよう努めることが責務と定めています。また、限度時間内で労働させた場合であっても、使用者は安全配慮義務を負うと明記し、留意を求めています。
3.施行期日をまたぐ期間の36協定は期間初日から1年間の経過措置あり
平成31年4月1日より前に締結していた36協定については、一定の経過措置が設けられ、その協定で定める期間の初日から1年間は、時間外労働の上限規制が適用されません。なお、中小企業の場合の施行日は、平成32年4月1日となっています。
4.工作物の建設の事業の範囲に交通誘導警備の業務も
時間外労働の上限規制が猶予される「工作物の建設の事業」、「自動車の運送の業務」、「医業に従事する医師」の対象範囲も省令で明確にされました。このうち、建設事業と一体化した交通誘導警備の業務も適用猶予の対象となっています。
次回は、年次有給休暇の取得の義務化に関してです。
厚生労働省
「36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針」
「36協定記載例(一般条項)」
「36協定記載例(特別条項)」
2.高年齢者雇用開発コンテストの受賞企業事例
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、毎年「高年齢者雇用開発コンテスト」を実施しており、このほど平成30年度受賞企業31編が決定しました。
「高年齢者雇用開発コンテスト」は、職場環境の改善や新職場の創設により生涯現役で働ける職場を実現している事例や、高齢者が身につけた能力を十分に発揮できる職場環境を創意工夫を重ねて実現した事例などを募集し、優れた取組みを表彰するものです。
これまでは、定年延長や再雇用により、60~65歳の雇用をいかにつくるかが焦点になっていましたが、今回の審査では65~70歳超の高齢者が活躍できる体制を整えている企業が増えており、そういう意味では、高齢者雇用は新しい時代に入ってきたといえるでしょう。
最優秀賞を受賞した「株式会社ホテルゆのくに」(石川県加賀市)は、制度上の再雇用年齢の上限は70歳ですが、一定の条件のもと上限を設けない運用で、現在の最高齢従業員は81歳。高齢従業員が持つ能力を活かし、生涯現役で働ける職場づくりを推進しています。旅館業務は重労働を伴いまいすが、身体的負担を軽減し、館内のバリアフリー化など、安心して働ける職場の整備を行っています。また、社内コミュニケーションの向上に努めています。
また、優秀賞を受賞した3編は、次のとおりです。
「株式会社すかいらーくホールディング」(東京都武蔵野市)は、クルー(パートタイマーやアルバイト)を含む全従業員の70歳までの継続雇用制度を確立。さらに、中高年グループが正社員に登用される道が開かれたことでモチベーションが高まり、全体の営業成績の向上につながっています。
「株式会社東急コミュニティー」(東京都世田谷区)は、定年年齢を65歳、契約社員の雇用上上限年齢を最大で75歳に延長。高齢従業員向けの研修や資格制度の拡充によりスキルアップを図るとともに、一定の資格を取得した際は褒賞金を支給して従業員の自己啓発を支援しています。
「東部タクシー株式会社」(鳥取県鳥取市)は、定年制を廃止するとともに、高齢ドライバーが持つノウハウを活用して観光事業部門に進出。企業の発展を支える高齢従業員が長く働ける職場環境の構築を進めています。従業員の希望に応じた柔軟な勤務シフト制度などの積極的な取り組みを行っています。
高齢者の活用は、人口減少と一層の高齢化の同時進行を背景とする人材確保難の中で、まったしの状況になりつつあります。
その中でも定年年齢の引上げや継続雇用制度の延長は、高齢者の高い就業意識とマッチングするものであり、その実施に伴うメリットは大きいものがあります。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:「高年齢者雇用開発コンテスト」
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