ニュースレター (平成30年11月)

金子経営コンサルティング事務所【中小企業診断士/特定社会保険労務士】

◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。

 

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1.働き方改革関連法の政省令・告示等の公布(2)

2.特定求職者雇用開発助成金

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1.働き方改革関連法の政省令・告示等の公布(2)

 

 

 シリーズの2回目は、年次有給休暇の取得の義務化についてです。

 

 年次有給休暇に関しては、平成31年4月から年10日以上付与する労働者に対して年5日、使用者が時季を指定して付与することが義務づけられるようになります。

 

 労働者が自発的に取得した日数や計画的付与による日数は差し引かれるので時季指定付与義務の対象となるのは、最大で年5日となります。

 義務違反の場合は、使用者が30万円以下の罰金の対象とされます。

 

 省令では、労働者の年休の取得状況を把握するための管理簿(年次有給休暇管理簿)の作成を使用者に義務づけています。

 管理簿には、労働者が年休を取得した時季、日数及び基準日を記録することとし、使用者には3年間の保存義務を課しています。なお、管理簿の様式は任意で、労働者名簿及び賃金台帳とあわせて調整することも可能となっています。

 

 企業によっては、年休を入社日から前倒しで付与する場合や、全社的に年休の付与日を合わせるため、入社2年目以降に付与日を変更する場合もあります。

そうした特殊なケースでの時季指定義務のあり方も省令で規定されました。

 

 年休を入社日に前倒しして付与する場合は、その入社日を起算日として1年間で年5日付与させなければならないとされています。

 入社日に5日付与し、6カ月後にさらに5日を分割するようなケースでは、付与日数が10日に達した時点(この例では入社6カ月経過時点)を起算日として、それから1年間を履行期間としています。なお、その場合で入社6カ月を経過する前に労働者が取得した年休があれば、その日数を含めて5日までの時季指定でよいことになっています。

 

 一方、全社的に起算日をそろえる場合は、2年目の年休の付与日を前倒しすることで、一時的に5日の時季指定義務の履行期間に重複が生じ、年休の取得状況の管理が複雑になることが考えられます。

 そこで、「最初に10日の年休を付与した日(全社的起算日)までの期間」と「全社的起算日から1年を経過するまでの期間」を足した履行期間の長さに応じた比例付与を認めています。その期間がたとえば1年2ヵ月なら6日、1年6カ月なら7.5日が時季指定義務の対象の日数となります。

 

 年次有給休暇の取得義務化については、人手不足の中で、多くの企業が今後の対応に苦慮しているようです。

 また、年休を前倒しで付与する場合などの時季指定義務の対象日数は複雑でもあり、管理の煩わしさも想定されます。

 

 次回は、安全衛生法の改正事項その他に関してです。

 

 

  厚生労働省:「年次有給休暇の時季指定義務」

  

  

 

 

2.特定求職者雇用開発助成金

 

 

 この助成金は、ハローワーク等からの紹介により、所定労働時間を週20時間以上むとする労働条件で、失業中の60歳以上65歳未満の方を雇用すると「特定就職困難者コース」、65歳以上の方を雇用すると「生涯現役コース」を申請できるものです。

 

 助成金額は、「特定就職困難者コース」では、所定労働時間が週30時間以上の場合60万円、所定労働時間が週20時間以上30時間未満の場合40万円で、「生涯現役コース」では、所定労働時間が週30時間以上の場合70万円、所定労働時間が週20時間以上30時間未満の場合50万円となっており、2回に分けて支給されます。

 

 従業員を雇用して6カ月経過すると1回目の助成金を申請でき、さらに6カ月を経過すると2回目の助成金を申請できます。

 

 通常、助成金は事業主が自主的に支給申請するものですが、本助成金の場合、支給対象になる従業員を雇用すると、労働局の判断で自動的に申請書類が郵送されてきます。

 

助成金申請にあたっては、以下の注意点があります。

 

 ①ハローワーク等で紹介された時点で求人者が失業していること

 ②採用した従業員が採用日から雇用保険に加入していること

 ③時間外手当や休日出勤手当などが正しく支給されていること

 ④有期契約社員で雇用する場合は、契約が自動更新されること

 ⑤採用後、少なくとも2年以上雇用することが確実であること

 

 平成30年10月より、以下の点が変更になり、要件が厳格化されています。

 

 ①助成対象期間中に対象労働者を解雇等した場合、以後3年間、当該事業所に対して本助成金を不

  支給

 ②支給対象期間の途中で対象労働者が離職した場合、当該支給対象期(6カ月)分の本助成金は原

  則不支給

 ③実際に対象労働者に支払った賃金額を支給額算定の際の基準に追加

 ・週あたりの賃金額が(最低賃金×30時間)を下回る場合は短時間労働者とみなします。

 ・支給対象期における賃金額が助成金支給額を下回わる場合は、助成金の支給はありません。

 

 人手不足の中にあって、60歳以上の業務経験豊富な人材を採用することもあるかと思いますので、活用したい助成金の1つです。

 

 

  厚生労働省:「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

  厚生労働省:「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)」

  

   

 

 

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