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1.長澤運輸事件の最高裁判決
2.時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)
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1.長澤運輸事件の最高裁判決
6月1日、契約社員等の有期契約労働者と正社員等の無期契約労働者との間との労働条件の差異を争点とする2つの注目すべき最高裁判決がありました。
定年後再雇用された有期嘱託社員が起こした長澤運輸事件は、その1つで、判決では、精勤手当などの差は不合理としましたが、正社員との格差の大半は不合理ではないと判断しています。
判決の中では、労働契約法20条に定める労働条件の差異の不合理性判断の要素である、①職務内容、②職務内容および配置の変更の範囲、③その他の事情のうち、③その他の事情の内容について解釈が示されました。
すなわち、最高裁は、労働者の賃金に関する労働条件は職務内容および変更の範囲により一義的に決まるものではなく、次のようなその他の事情を考慮すべきであるとして、判決を下しています。
(ⅰ)使用者は雇用および人事に関する経営判断の観点からそれ以外の様々な事情を考慮して労働者
の賃金に関する労働条件を検討することができること
(ⅱ)賃金に関する労働条件のあり方については、基本的には団体交渉等の労使自治に委ねられるべ
き部分が大きいことから、その他の事情をより広く解釈すべきものとすること
最高裁判例が、判示した上記(ⅰ)、(ⅱ)を正面から認め、その他の事情を広く認めたことは注目すべき点であり、定年後の再雇用者については、定年までに正社員として賃金を受け取ってきたこと、通常は長期間雇用することが予定されていないこと、一定の要件を満たせば年金の支給が受けられることに着目し、賃金格差の大半について不合理ではないと判断しています。
また、この判決では、正社員と非正社員の待遇の差は、どのような場合に不合理となるのかについて、賃金の総額を比較するだけではなく、手当などの項目の趣旨を個別に考慮すべであるとの判断が示されたことになります。
これは、平成28年12月に公表された「同一労働同一賃金のガイドライン案」に沿った考え方であり、企業実務への影響も大きいと思われます。
今後は、どういう待遇差が不合理になるのか、手当ごとなどに具体的に示すガイドライン(指針)が策定されることになっています。
厚生労働省「同一労働同一賃金のガイドライン案」(平成28年12月20日)
2.時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)
この助成金は、今年度、職場意識改善助成金から「時間外労働等改善助成金」に名称が変更され、中でも最も申請しやすいのが勤務間インターバル導入コースです。
勤務間インターバル制度(勤務の終業時刻から次の勤務の始業時刻までの間に「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の休息を設ける)を導入するため、外部専門家ニヨルコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して、その経費の一部を補助するもので、中小企業における労働時間等の設定の改善の推進を図ることを目的にしています。
助成金額は、対象経費の費用の75%となっていますが、今年度より、事業規模30名以下、かつ一部経費が30万円を超える場合は、助成率が75%から80%となりました。また、対象経費として、労働能率の増進のための設備・機器等の導入・更新や業務研修、人材確保等のための費用等が追加されました。
申請時には、購入する機器等すべてに相見積もりを取り付け、価格が一番低い金額を提示した業者から購入しなければならないことが留意点です。
残業時間削減の取組みや入退社の管理をする機器の購入を予定している会社にはおすすめの助成金であり、特に、勤務間インターバル制度の導入に伴う就業規則の作成・変更を検討している事業所には活用したい助成金です。
厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)のご案内」
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