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1.定年後継続雇用時の職種変更等の適法性
2.人事評価改善等助成金
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1.定年後継続雇用時の職種変更等の適法性
平成28年9月28日、名古屋高裁でトヨタ自動車事件の判決がありましたので、改めて採り上げます。
判決のポイントは、定年後継続雇用時に、それまで事務職に就いていた労働者に対し、継続雇用の条件として業務内容を単純労働職としたことが、労働者にとって到底受け入れ難く、実質的に継続雇用の機会を与えたとは言えず、平成24年改正高年齢者雇用安定法(以下、改正高年法という)の趣旨に反し違法であるとし、労働者の損害賠償を認めたことです。
改正高年法は、60歳定年到達者のうち継続雇用を希望する者をすべて継続雇用することが原則義務付けています。
しかしながら、同法では、賃金や労働時間、職務内容等の継続雇用時の雇用条件については何ら規定していないことから、どのような場合に適法性が認められのかが問題になります。
本件は、会社が提示したパートタイマーとしての再雇用の雇用条件に関し、給与額については、老齢厚生年金の報酬比例部分受給開始前においてその受給額の約85%の収入が得られ、到底容認できないような定額の給与水準とは言えないとしつつ、他方で、主な業務内容を清掃業務等としたことについては、原告のこれまでの職種とまったく別の職種であり、このような呈示は、原告がいかなる種類の事務職にも耐えられないなど通常解雇に相当するような事情が認められない限り、改正高年法の趣旨に反する違法なものであると判断し、パートタイマーとして雇用された場合に見込まれる収入額を限度として、原告による損害賠償の請求を認めています。
このような判断は、低条件での継続雇用の申入れを拒否したために、定年後に継続雇用されなかった労働者についても損害賠償による一定の救済を認めたもので、今後、同じような事案でも同様の判断が行われる可能性はあります。
また、継続雇用で呈示した収入の条件が、老齢厚生年金の報酬比例部分の約85%とされ、これが到底容認できないほど低いものとはされなかった点も、今後、一定の目安になると思われます。
東京弁護士会「近時の労働判例」
2.人事評価改善等助成金
生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を整備することを通じて、生産性の向上、賃金のアップおよび離職率の低下を図る事業主に対して助成されるものです。
人材不足の解消を目的に、今年度から新設された助成金です。
受給するためには、事業主が、人事評価制度と賃金アップを含む人事評価制度等整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けることが必要です。
受給金額は、人事評価制度等の「制度整備助成」が50万円、人事評価制度等の実施の結果、賃金が2%以上増加し、かつ離職率の低下目標を達成することにより、「目標達成助成」が80万円となっています。
なお、同様趣旨の助成金である「職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース)」とは、併給調整がかかるので注意して下さい。
既に人事評価制度を導入している企業であっても、まだ就業規則等に明文化されていない場合には本助成金の対象となります。
また、賃金表や人事評価制度が未整備の企業にとっては、この助成金を活用して整備を図ってみてはいかがでしょうか。
厚生労働省「人事評価改善等助成金」
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