ご本人が記者会見で、「あんなひどい会話をした記憶はございません」とのことで、会話自体は“あんなひどい”という評価になることにびっくり。自分は少なくとも“あんなひどい”会話をしてはいないと言いたいのでしょう。
しかし、女性記者がその録音の相手は自分だと出てきた以上、どう言い逃れをしようもなく、“あんなひどい”会話をしていた事実は明確でしょう。
いまどき、女性記者を相手にこれだけのセクハラ発言を連発する官僚の偉いさんがいることにびっくり。男性記者が相手だったら、取材の問いの合間に「君、週何回やってる?誰とやってる?」なんて性的な事をにおわせるような発言は絶対にしないでしょうに。
そして、女性が接客をしている店に行き、店の女性と“言葉遊び”を楽しむようなことはあるというのですが、女性が男性を相手に接客していればその女性に何を言っても許されるという感覚にもびっくり。女性を侮蔑するような発言をして、それを“言葉遊び”だなんて。そんな遊び方をしているんですね、この偉いさんは。
女性が接客業であろうがなかろうが、女性を侮蔑しちゃいけないのではないでしょうか。
お金を出せば何をしてもいいという基本理解があるとすれば、性風俗関係の女性からの相談が私たちのところに絶えず寄せられるのも無理はない状況があるのでしょう。
そもそも、セクハラをしてもいい女性としてはいけない女性とに分けて考えること自体にびっくり。
そして、一番びっくりしかつ絶望的にさえなることは、セクハラが社会問題化されて30年近く経った現在、少なくとも職場環境に雇用者は最善の注意を払わなければならないことになっています。財務省のトップは、自分の職場には、そんなことは適用されないとでも考えているのでしょうか。この偉いさんは一度もセクハラ研修を職場で受けてこなかったのでしょうか。彼の就職は1982年とのことです。官僚として油の乗り切った中堅どころの頃にはもうセクハラが社会問題化し、1990年代の終り頃には、職場環境の整備が問われ始めていました。そんな世上の動きにはまったく関与しない思考のありようでも、高級官僚がつつがなく務まってきた財務省の文化風土にびっくり。
きっとこの偉いさんによる被害女性やパワハラを受けた部下たちは、今回ようやく明るみに出た女性記者のみならず、たくさんいることでしょう。
財務省は“うみ”を出し切って欲しいし、私たちも“うみ”を絞り出しましょう。