記念すべき第一回目は「人」との出会い。
老人保健施設でお世話になっていた頃にであった利用者の「きぬさん」との出会い。
私が20分のアロマケアセッションを作るきっかけになった方です。
きぬさんはアロマケアの授業でもよく症例で紹介するお一人です。
84歳のきぬさんは色白で真っ白な髪、知的なめがねをかけた聡明な女性でした。
30年ほど前に脊髄の病気を発症して以来車椅子の生活をされています。
もともとは女学校の先生をされており、趣味は読書と短歌。
ご主人が認知症を発症し、同じ施設に入居されています。
私はきぬさんのお部屋を訪問して毎週施術を行なっていました。
アロマケア初心者の私にきぬさんはよく話しかけてくださっていました。
主訴(患者様の訴えの中でメインとなる症状)は下腿部(膝から足先の部分)
にかけての浮腫みそして車椅子生活での肩や腕のこり・血行不良でした。
当時、利用者一人をアロマケアラーが訪問する時間は30分から60分くらいを
設定していました。しかし、実際の施術時間は30分の訪問では15分位、
60分の訪問であれば、40分か場合によっては30分位となります。
当時、施術はベッドでおこなっていましたので、車椅子からベッドへ移乗したり、
着脱衣に時間がかかったりで施術時間が短くなります。
認知症の方の場合、特に時間がかかります。
自立歩行できてもズボンをおろして、しばらく放心状態になったり、
ベッドに寝て脱衣してからトイレを訴えることがあったり。
きぬさんは大柄な方で、食事は自分で召上りますが、寝たきり度はB2でしたので、
ベッドに移乗して脱衣して、姿勢を整え、施術しても再び着衣、車椅子への移乗で
あっというまに60分が終ります。
私はベッドに寝なくても車椅子でままで施術ができないものかと考えて、
色々な方法を模索して、できあがったのはアロマケアレベル1でお伝えしている
20分セッションです。
ですので、この20分セッションはきぬさんスペシャルといっても過言ではありません。
アロマケアの場合基本的なタッチングの手技は授業の中で学んびますが、
重要なのはそれを応用していかに一人一人の利用者さんや患者さんに合った
スタイルをつくるかということに尽きるんですよね。
きぬさんとの出会いについてはまだまだエピソードがございます。
この続きはまた次回以降にお届けいたします。
最後までご拝読ありがとうございました。 櫻井かづみ