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1.時間単位年休の活用
2.職場のハラスメント
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1.時間単位年休の活用
今年初めの施政方針演説で、安倍総理大臣は、「働き方改革を断行します」と高らかに宣言し、これに続いて、「柔軟な労働制度への抜本的な改革と70年ぶりの労働基準法の大改革を実現します」と述べています。
ここでいう労働基準法の大改革とは、時間外労働の上限規制が中心ですが、その他に、年次有給休暇に関するものも含まれていることはご存知でしょうか。
すなわち、年次有給休暇年休の日数が10日以上の労働者に対し、そのうち5日については、1年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないものとするとする義務化に関するものです。
「働き方改革と聞いてイメージすることは何ですか」という質問に対し、「年次有給休暇が取りやすくなる」が最も多いという調査結果もあり、年次有給休暇の取得は働く人のニーズとして根深いものがあります。
そうした中、従業員からのニーズは強く、企業側としては負担の少ない制度であることから、最近は時間単位年休制度に注目が集まっています。
時間単位年休制度とは、1年に5日を限度として時間単位で有給休暇の取得を認める制度で、本来1日単位での取得が原則ですが、仕事と生活の調和を図る観点から、平成22年施行の改正労働基準法により制定されたものです。
時間単位年休制度を導入・実施するためには、労使協定の締結が必要です。また、運用にあたっては、以下の点に注意する必要があります。
①残日数・残時間数の管理
②時季変更権との関係
③年次有給休暇の計画的付与との関係
④半日単位の年次有給休暇の取扱いとの関係
⑤時間単位年休を取得できる事業場からできない事業場に異動した場合の取扱い
⑥1年の途中で所定労働時間が変更された場合の取扱い
⑦時間単位年休に対して支払われる賃金
このように、時間単位年休制度は、意外と多くの必要な手続きはあるものの、企業にとっては年休の日数が増えるわけでもなくそれほど負担感のない制度であることから、従業員に対する働き方の見直しの取り組みとして活用を検討してみることをおすすめします。
厚生労働省「年次有給休暇の時間単位付与」
2.職場のハラスメント
セクハラ・パワハラをめぐる報道が、国内外を問わず最近よく見受けられます。
セクハラについては、男女雇用機会均等法が1986年に施行されて以降、その防止に向けた意識も比較的定着している状況であったのですが、一部の組織ではそうした意識が欠如していたのは驚きを禁じ得ません。
しかしながら、平成28年度における都道府県労働局均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談件数は、21,050件で、そのうちセクハラに関する相談が7,526件と最も多くなっています。
一方、パワハラについては、近年増加傾向にあります。
平成28年度の民事上の個別労働紛争の相談・指導、あっせん件数は、310,520件で、そのうち「いじめ・嫌がらせ」に関るものが70,917件と最も多くなっています。
しかしながら、こうしたパワハラを直接に規制・防止する法律は存在しません。
唯一、平成24年3月に厚生労働省が「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」により、社会的気運を醸成するための周知・啓発などの取り組みを実施している程度です。
一方、暴行罪などの刑事責任や不法行為や使用者責任などの民事責任を一般法により問われることがあります。
こうした中、厚生労働省の「パワーハラスメント防止対策についての検討会」では、3月30日の報告書の中で、職場のパワハラを防止するために、事業主に雇用管理上の措置を義務づけるなどの対応策を示し、厚生労働省において必要な措置を講じることが適当と提言しました。
この提言を受け、今後パワハラ防止についてどのような進展がみられるかは不明ですが、ようやく法規制への取り組みの議論がようやく本格化しました。
企業側の対策の1つとして、防止に向けた定期的な教育も有効であり、当事務所でもそうしたハラスメント研修の支援をしているところです。
厚生労働省「パワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書(参考資料)
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