◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。
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1.「高年齢者雇用開発コンテスト」の受賞企業事例
2.65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)の活用例
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1.「高年齢者雇用開発コンテスト」の受賞企業事例
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、厚生労働省との共催で「高年齢者雇用開発コンテスト」を毎年開催しています。
このコンテストは、高齢者が定年前後を問わず能力や意欲を向上させ活躍する「年齢にかかわりなく働ける生涯現役社会」に向けた、高齢者の雇用促進にかかる取組みの一環として実施されています。
まず平成29年度に実施されたコンテストにおいて、最優秀賞を獲得した事例を紹介します。
【企業プロフィール】
◎企業名 株式会社きむら(香川県高松市)
◎創業 1907(明治40)年
◎業種 食品小売業
◎従業員数 1,085人(うち60~64歳126人、65~69歳132人、70歳以上32人)
◎定年60歳、定年後は希望者全員を65歳まで再雇用
【事例のポイント】
同社は、110年の歴史を誇る老舗であり、地域のニーズに合わせた生鮮品の豊富な品揃えを強みとして店舗を展開し、業容を拡大しつつ地域に貢献できる企業を目指してきています。店舗数の急速な増加を支える人材の確保という喫緊の課題に対し、経験や技術を持った高齢者の活用こそ成長戦略の柱と位置付け、全社一丸となって取り組んできています。
(1)豊富な経験や技術を持つ高齢従業員を即戦力として位置付け、高齢従業員を活用するための再雇用 制度を見直した。
(2)再雇用制度の上限年齢(65歳)を事実上廃止し、現行定年60歳時の50%であった再雇用後の給与水準を定年退職時の水準とした。また、継続雇用中の昇給実施が従業員のモチベーションアップにつながった。
(3)体力が必要とされる厳しい作業環境の改善を目指し、積極的な機械化を推進した。
(4)新規出店の際、行っていた採用方法を見直し、経験、やりがい、年齢不問を強調することで経験のある高齢従業員の獲得を目指した。
(5)高齢従業員の知識や技術、ペア就労などが品質の向上に貢献し、直近決算3年間で2割近い生産性の向上が実現した。
次に、優秀賞や特別賞を獲得した5社では、以下のような取組みが評価されています。
七欧通信興行株式会社(東京都荒川区)は、高齢者の加齢に伴う能力低下を適切に評価しつつ、従来までの職業能力を活かした雇用を継続しています。高齢従業員の職務内容と整合性のある「納得のいく賃金額」を決定し、高齢者のモチベーションが上がっています。また、ジョブカードや職場改善マニュアルを活用し、職場の活性化にも取り組んでいます。
株式会社平和タクシー(宮崎県宮崎市)は、従業員の約9割を60歳以上で占めており、生涯現役を目指す職場づくりのために徹底した健康管理体制を推進しています。安全目標を設定し、事故防止や車両管理に万全の態勢で臨み、高齢者でも高い運転能力が維持できることを証明しています。
一般社団法人市川市福祉公社(千葉県市川市)は、市の外郭団体として設立後に民間業者として独立、経験豊かな中高年齢層が柔軟な働き方ができる勤務管理システムを導入し、365日24時間体制の訪問看護サービスを実現しています。また、チーフ・ヘルパー制度によって、介護技術だけでなく心遣いも伝承されています。
株式会社お仏壇のやまき(静岡県静岡市)は、勤務時間を店舗の来店状況に合わせた「高齢者フレキシブル勤務制度」の策定や、短時間勤務が可能な「セカンドライフ勤務制度」の導入で多様な勤務形態を創出しています。また、顧客情報共有システムなどの活用で高齢従業員の継続雇用を目指しています。
株式会社ウエスト神姫(兵庫県相生市)は、16人の従業員からスタートしたバス会社ですが、いまや201人(そのうち60歳以上は60人)を雇用しています。地域のニーズに応えたコミュニティバスの運行は、高齢者のみならず女性の雇用の場も拡大しています。また、高齢従業員にも人間ドックレベルの健康診断を実施しています。
このように、受賞企業の取組みとして、制度改善だけではなく、高齢従業員の能力に適した働き方や活躍できる多様な勤務形態が特色となっています。
私も支援機構の高齢者雇用アドバイザーとして、各企業を訪問していますが、現状で十分、対象者が少ないなどの理由で、高齢者の活用に関する企業意識がまだまだ低いことが多く、貴重な戦力となり得るのにもったいないと感じています。
独立行政法人高齢・生涯・求職者雇用支援機構
「平成29年度高年齢者雇用開発コンテスト事例」
2.65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)の活用例
この助成金については、10月のニュースレターで配信していますが、50歳以上定年未満(65歳を超える定年は65歳まで)の6カ月以上雇用している有期契約社員(パートタイマー、アルバイト等)を無期雇用社員に転換した場合に助成されるものです。
助成額は、1名につき48万円(生産性要件に該当すると60万円)です。
活用例としては、1年前から有期契約で雇用している53歳のパートタイマー(労働条件:週25時間勤務、時給1,000円)を労働条件はそのままで有期雇用から無期雇用に転換し、6カ月継続雇用後に助成金を申請することができます。
キャリアアップ助成金のように正社員に転換する必要がなく、パートタイマーの身分のままで申請できる点がポイントです。
その他のポイントとしては、以下の点があります。
①無期契約労働者になった場合でも、所定労働時間が週30時間未満であれば、社会保険に加入する必 要はありません。
②計画期間は5年間で、年間10名まで申請できますが、1年間に1人でも無期転換しないと翌年度、計画は失効します。
③有期契約社員の間は、週の所定労働時間が20時間未満のため雇用保険に加入していなかったパートタイマー等も対象になりますが、無期転換社員に転換後は、週20時間以上の勤務と雇用保険の加入が条件となります。
その他の条件や申請手続等については、下記をご参照下さい。
独立行政法人高齢・生涯・求職者雇用支援機構
「65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)」リーフレット
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