◆法改正や施策情報、助成金情報などを中心に、定期的に配信しています。
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1.働き方改革における年休強制付与
2.小規模事業場産業医活動助成金
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1.働き方改革における年休強制付与
働き方改革の議論の過程においては、時間外労働の削減が中心となっていましたが、実は年次有給休暇の強制付与も法案の中に盛り込まれていたことをご存知でしたでしょうか。
今年6月に成立した働き方改革関連法では、年休の付与日数が10労働日以上ある労働者に対しては、パートであっても年5日の年休を時季指定により与えなければならないことになりました。この制度は、中小企業の猶予特例がなく2019年4月より一斉に施行され、労働力不足に悩む中小企業に対して大きな影響を与えるものと思われます。
また、その義務違反に対しては、1人30万円以下の罰金が科されることになっていることからも、年休の取得促進は喫緊の課題となっています。
そうしたことから、年休が取りにくい体質の会社にとって、何らかの対応が必要になってきます。
1.その1つが、年休の計画的付与です。従業員の時季指定による年休取得だけでは年5日に満たない
場合は、強制的に計画年休を取得させることも必要になってきます。この場合、夏季休暇等を計画
年休に切り替えることを検討することもあるかと思いますが、休日減といった不利益変更が生じる
点にも留意する必要があります。なお、年休の計画的付与の導入にあたっては、労使協定が必要に
なりますが、監督署への届出の義務はありません。
2.また、休日出勤が慢性化し、代休の消化で精一杯という会社では、代休付与が労基法の義務では
ないことから、休日出勤に対しては適正な割増賃金を支払ったうえで、年休取得を優先させるとこ
とも考えられます。
3.さらに、年休のうち5日間については時間単位休を使用して、年休そのものを取得しやすくするの
も有効かも知れません。なお、時間単位休の導入にあたっては、労使協定が必要になりますが、監
督署への届出の義務はありません。
厚生労働省の2016年就労条件総合調査によると、労働者1人あたりの年次有給休暇日数(繰越日数を除く)は平均18.2日で、そのうち取得した日数は9.0日で、取得率は49.4%となっています。
そうした中、国のワーク・ライフ・バランス行動指針では、2020年度までに年休の取得率を70%にすることが謳われており、最低5日の年休強制付与は、義務感からではなく、社員の働きやすさや安全配慮義務などからも前向きに取り組んでいく必要があると思われます。
厚生労働省:「労働基準法等の一部を改正する法律案」について
2.小規模事業場産業医活動助成金
この助成金は、産業医の要件を備えた医師または保健師と契約し、産業保健活動を実施した従業員50人未満の事業場に対し助成されるもので、労働者の健康管理の促進を目的としています。
昨年度は、産業医の新規契約が要件でしたが、平成30年度では、産業医契約は金銭的に難しい場合でも保健師との契約により産業活動を行う場合も活用できるようになりました。
今年度、新たに加わったコースは、以下の2つです。
1.保健師コース
小規模事業場が、平成30年度以降新たに事業場外の保健師と健康異常所見者、長時間労働者等に
対する健康指導、高ストレス者等に対する健康相談、健康教育等の産業保健活動の全部または一部
を実施する契約を締結し、保健師がこれら産業保健活動を実施した場合に支給されます。
助成内容は、勤続6カ月の保健師活動実績に基づき、6カ月ごとに100,000円を上限に実費を支
給、1事業場当たり将来にわたり2回助成されます。
2.直接健康相談環境整備コース
小規模事業場が、平成30年度以降新たに産業医または保健師と労働者が直接健康相談できる環境
を整備する条項を含めた契約を締結し、労働者へ周知している場合に支給されます。
助成内容は、1事業場当たり、6カ月ごとに100,000円を一律支給、1事業場当たり将来にわたり2
回限り助成されます。
メンタルヘルス不調による求職者の増加は、大企業に限った話ではなく、小規模事業場においても近年特に増加しており、同様に頭を悩ませる問題となっています。また、小規模事業場ほど、1人の労働者が複数の業務を行っていることが多く、休職による事業への直接的な影響は計り知れません。
そのため、日頃から心身ともに健康でいきいきと働ける職場づくりの1つとして、独立行政法人労働者健康安全機構が提供する様々な支援を活用しながら、必要な産業保健体制を整えていくことも必要と思われます。
独立行政法人労働者健康安全機構:
小規模事業場産業医活動助成金(保健師コース)
小規模事業場産業医活動助成金(直接健康相談環境整備コース)
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